宇宙~ソラ~ | ナノ


▽ 出会い


つい昨日、私立聖風学園に入学したあたしは天堂 乃亜。
同じ学校に兄を持つ妹である。

兄は聖風学園3年で、何故か生徒会に入っててそれなりに顔が整ってるから人気らしい。
名前は天堂 矢吹。あの、超絶イケメンな憐先輩と仲が良いとかって言う話だし。
お兄ちゃんの分際で憐先輩と仲良いとかあり得ない。
うん。


「乃亜、おはよう」
「あ、美紀おはよー」


プラプラと鞄を前後に揺らしながら学校までの道のりを歩いていると、親友である渡瀬 美紀が声をかけて来てくれた。
美紀はあたしと違ってものすごく美人で、秀才。
たまにドライなところがあるからクールビューティーなんて言われたりしてる。


「朝からなに?不貞腐れたような歩き方しちゃって。
なにかあった?」


長く艶のある髪を靡かせながら困ったように眉を下げて聞いてくる美紀。
…さすが美紀。あたしの事分かってる〜


「美紀聞いてよー!お兄ちゃんったらヒドいんだよ?『俺が学校にいる間は彼氏作るな』とか言って来るんだよ??
あたしは高校入ったら速攻彼氏作って高校生活をエンジョイする予定だったのにさ」
「愛されてんねー、乃亜」
「でもいいもんね!お兄ちゃんの言葉なんてガン無視で彼氏作ってやるもんね!」
「ん、応援してる」


お兄ちゃんの言い聞かせなんてガン無視だよ!
あたしはあたしのやりたいようにやる!
お兄ちゃんはちょっとシスコンの気が入ってるからこう言うことに関しては口うるさいんだよね。
…ていうか、妹に彼氏が出来たら普通は嬉しいもんじゃないの?


「ねえねえ、美紀美紀」
「ん?なに?」
「美紀はさ、どうやって彼氏くんと出会ったの?」


なんとなんと!
このクールビューティー美紀ちゃんには彼氏くんがいらっしゃるのです!
しかも、高校入る前の3月からのお付き合い。
出来たてホヤホヤのカップルなんです!!


「翔と?」
「うんうん」
「あたし達はバイト先で出会ったな。
それに、あたし奏蓮の追っかけやってるし」
「あー、喫茶店!」
「そうそう。
あそこ、意外と奏蓮の本拠地に近いから出会う確率が高くて何回か顔を合わせてる内に気になって来て、向こうから話し掛けてくれて…それからかな」
「なんか、そういうのいいな〜。
ゆったりのんびりした恋愛してみたーい」


ドキドキとかするけど、あたしあんまり恋愛とかそういうのに慣れてないからゆっくり進めたい。
だから、焦らずに歩調を合わせてくれる人と恋したいな。


「ふふっ
乃亜なら出来るでしょ。乃亜、可愛いんだし」
「え?可愛くないし。それを言ったら茉夜のが可愛いし」
「あれはもう、別格。
行動も雰囲気も可愛いから侮れない」
「ホントだよね〜」


昨日の入学式で友達になった可愛くてどこか儚い雰囲気を醸し出す花井 茉夜。
美紀とは全くの逆で、可愛い女の子って感じの子。

あの子の可愛さはもう、説明できないくらい可愛い。


「ま、あたしからしたら二人とも可愛いけどね」
「えー?ないない」


お兄ちゃんは妹のあたしからみてもそれなりに格好良い顔立ちだけど、あたしは可愛いなんてものじゃない。
普通……だと思う。
だからあたしを可愛いと言う美紀は可笑しいと思う。うん。




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