小さな変化

繁華街の路地を少し入ったところにある、ホストやキャバ嬢に人気のBAR『C-Roof』
繁華街でも、ネオン街寄りに建っている事から夜職の人間がよく立ち寄ることで有名な店だ。

そこで働いている従業員は、ホストに劣らないと言われておりバーテンダーは話術に長けている。
そんなBARで働くあたしは茉優。唯一の女バーテンダーだ。


「茉優ちゃーん、ご指名入ったよ」
「はーい」


店長兼オーナーであり、あたしのバーテンダーとしての師匠の隼人さんに呼ばれ、あたしは今接客していた人たちに断りを入れると隼人さんの元に近付いた。


「どこですか?」
「カウンター奥の人たち」


隼人さんがそう言って指す方を見てみると、見慣れた顔が連ねていた。


「あぁ、あの人達ですか」
「じゃ、よろしくね」
「はーい」


隼人さんに返すと、あたしはカウンター奥へ向かった。
あたしが着くと、見慣れた顔触れは妖艶に微笑む。


「久しぶりだね、茉優ちゃん」
「相変わらず人気だね、茉優ちゃんは」
「大和さんと祐さんに言われたくないですね。
なに飲みますか?」
「ははっ言われちゃったな」
「大和さんが悪いんですよ。茉優ちゃんをイジメるから」
「祐に言われたくねぇな」


所謂イケメンと称されるこの2人は、ホスト業界のツートップ。
ここら辺一帯を取り締まる重役を担ってる大和さんと、ここらで1番人気で収益を上げてるクラブのオーナーの祐さん。
もちろん、この2人は昔はホストだった人たち。
しかも、どちらも不動のナンバーワンを勝ち取ったと言うから驚き。


「で、なに飲みます?」


仲良く会話する2人にあたしがそう聞くと、大和さんと祐さんは顔を見合わせて笑った。


「あはは。ごめんごめん。ウイスキーを頼むよ」
「同じで」
「はーい」


お酒を作りながら2人の話を聞いていると、必然的にホスト業界に詳しくなっちゃうんだよね。
悲しい現実。


「『Planet』の奴等、いい感じに刺激しあってるな?」
「まあ、俺がオーナーなんでね」
「Planetって、長いですよね?大和さんも祐さんもPlanetで働いてたんですよね?」


ここら辺一帯で不動の人気を誇るホストクラブ『Planet』そこの先輩後輩関係にあった大和さんと祐さん。
お互いにナンバーワンに輝いて今では伝説とまで言われてる。


「確かに長いな。俺が高校生の時にはすでにあったしな」
「大和さんの高校生姿、想像できないな…」
「ふふっ
まあ、俺も30過ぎたおっさんだからな?」
「それを言ったら俺ももうすぐ30ですよ?」
「お2人は歳を言わないと実際の所、年齢なんて分からないですよ?
若く見えますし」


顔が整ってるから余計に。
30だなんて言われないと絶対に思えない年齢なんだもん。
ヘタしたら20代前半と思われても仕方ないと思うんだ。




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