小さな変化

「それは言い過ぎだよ、茉優ちゃん」
「そうそう。俺なんて茉優ちゃんの2倍は生きてるんだよ?」
「2倍は言い過ぎです。それに、本当に大和さんも祐さんも若いですよ?」


見た目からして若い2人。
30過ぎには見えないから。


「茉優ちゃんには敵わないねえ」
「そうですね」
「うふふ」


ウイスキーのロックを煽る大和さんと祐さん。
その姿さえ、様になってる。

そんな2人の為にあたしは簡単なカットフルーツを用意する。
そして、2人の前にそれを置いた。


「あ、そうだ茉優ちゃん」
「なんですか?」


カットフルーツのパイナップルを口に含むと、思い出した様にあたしに微笑みかける祐さん。
大和さんは大和さんで優雅にウイスキーを煽ってる。


「次の定休日、『Planet』に遊びに来ないかい?」
「え?Planetに、ですか?」


Planetと言えば、さっきまで2人で話題になってたクラブで、尚且つ2人が名を挙げたクラブでもある。
しかも、祐さんに限ってはそこのオーナーだし。


「そう。
茉優ちゃんにはココでお世話になってるし、そのお礼と言ってはなんだけど招待しようと思ってね」
「招待していただけるのはありがたいですけど、あたし…ホストクラブとかはちょっと……」


苦手、なんだよね。
ある意味では同業者だし、C-Roofで働いているとホストもキャバ嬢もやって来るワケだから裏事情ばかり耳に入って…
純粋に楽しめそうにない。


「遠慮しなくていいんだよ、茉優ちゃん。
祐がそう言ってんだし、気楽に行って来なよ。なんだったら俺も着いて行くし?」
「え、大和さんも来るんですか?」
「なんだよ。嫌なのか?」
「いやー…そう言うわけではないですけど……」
「だったらいいじゃないか。
アイツ等も活気付くだろ?」
「まあ、そうですけどね」


んー…これは行く雰囲気、かな?
ホストクラブ、本当に苦手なんだけどな…


「それで、茉優ちゃんどうする?」
「えっと……それじゃあ行かせていただきます」
「うん。それじゃあ待ってるね」
「はい」


結局、あたしって押しに弱いというかなんて言うか…
まあ、少し気にはなっていたから別に問題はないんだけど。


「茉優ちゃん、一緒にどうだい?」
「そうですね…あたしも1人では心細いので大和さんも一緒だとありがたいですね」


あたしがそう言えば、大和さんは微笑んだ。
かわりに、祐さんは苦笑いだけど。




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