紅蓮の華 | ナノ

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「……で?別れて来たと」
「うん、そう」


誰もいない教室で幼馴染の蓮人と駄弁っているあたしは柚月。
さっぱりあっさりしているあたし達はお互いの良き理解者だ。


「ふーん。アイツが浮気ねぇ…」
「まあ、あたしは気がなかったから別にどうでも良かったんだけどね」
「はっ、言うねえ…ユズちゃん」


愉快に笑う蓮人
絶対これ、愉しんでる


「あたしが本気で恋愛出来ると思う?」
「思わねえな」
「でしょ?」
「で、柚月はこれからどーすんだよ」
「しーらなーい」


机になだれ込みながら蓮人の問いかけに答える。
これからなんて考えたって仕方ないし。


「じゃあ、彼処行くか?」
「あそこ?」
「zeep」


蓮人から発せられたある場所の名前
zeepは世の端くれ達の集まるBARであり、遊邸のような場所。
と言っても、集まる殆どが学生でただただ集まって騒いで飲み食いして帰るだけだけど。


「zeep、か…」
「柚月が来ない間に結構メンバーが入れ替わったし、今のメンバーは面白いぞ?」
「蓮人、ずっと行ってたの?」
「柚月がバカと付き合い出してから暇だったからな」
「……」


なんだか色々と申し訳ない
蓮人の事考えてなかったわ…


「で、行くだろ?」


ニヤリと微笑みながら言う蓮人


「拒否権ないでしょ?」
「まーな」


確信したように言われれば行くしかないし。
肯定するしか、ない


「さーて、傷心なユズちゃん、行きますよー」
「レンくんうっざーい」
「お前、幼馴染様を侮辱したな?」
「なんの事かしら?」


お互いに目が合うと、どちらともなく笑い合うあたし達。
隣に並んで歩くあたし達は端から見たら恋人に見えるかも知れない。
だけど、あたし達は恋人には絶対にならない。

だって、


「蓮人はいいの?」
「俺はもう、いらねーし」
「…そ」


こんな悲しそうに言われたら責任感じちゃうでしょ
大切な恋人を目の前で失ったら
大切な人を守る事なく失ったら


同じ境遇で、同じ道のりを辿って来たあたし達だからそこ良き理解者であり、良き親友なのだ。
だからあたし達がくっ付くなんてあり得ない話。


「…あーでも」
「ん?」
「落としてみたい奴はいるな」
「へーそりゃ珍しい事で」
「柚月とは正反対で大人しくて可憐な子なんだけどなー?」
「あっそ」
「興味持てよ」
「面倒」
「お前なぁ…」


良いことだし、嬉しいことだけど、なんだかちょっぴり残念に思う
友達を取られた感じ





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