紅蓮の華 | ナノ

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「ゆーうーとさーん!
あっちで注文が入ったんでお伝えに来ましたよ」
「あぁ、蓮人か。なんだった?」
「えっとですね…」


若干の裏切り者の蓮人くんが何故かるんるんとした足取りでこちらにやって来た。
なにを考えてんだか、蓮人のやつ。


「ハルときーやんがカレーで、ナギとるーたんと俺がラーメン。リュウはいつものだって」
「カレーが二つとラーメンが三つといつものな」
「そそ」


悠人さんが蓮人の注文を厨房に伝えに行くと、蓮人があたしの隣に座った。


「久しぶりのzeepはどうよ?」
「相変わらず落ち着く」
「柚月らしいな、その回答」
「まーね」
「蓮人、出来上がったら届けに行くの面倒だから全員こっちに呼び寄せてな」
「えー」
「金取るぞ」
「呼びます!呼ばせていただきます」


蓮人と悠人さんのやり取りに、笑みが浮かぶ。
学校だとクールな蓮人がzeepだとみんなにあしらわれてあたふたとする。
本当に、ここはありのままの自分が出せる場所なんだと思う。


「蓮人、ここだとキャラ崩壊だね」
「キャラ崩壊もなにもこれが蓮人だろ?」
「は?悠人さんひど!俺、学校だとマジでもっとクールなんすけど!?」
「ありえねーな」


面白おかしく笑う悠人さんは、厨房から料理を受け取るとあたしの目の前に料理を置いた。


「柚月ちゃんお待ちどうさま」
「あ、オムライスだ」


黄色く輝くドーム型の料理。


「うーわ、うまそ」
「あげないからね」
「分かってるっつーの」


蓮人からオムライスを離しながら言えば、蓮人は呆れたように顔を歪めた。
それを横目で見ながらあたしはオムライスをスプーンで掬い、口に入れる。
その瞬間、フワッと広がる卵とケチャップのちょうどいい酸味。


「ん〜、んまっ」
「うっわー、スゲー幸せそうな顔」
「だって美味しいんだもん」
「その顔、スゲームカつく」
「そんなの知らなーい」


そんなあたし達のやり取りに、悠人さんは楽しそうに笑う。


「蓮人、そろそろ出来るからアイツら呼んで来い」
「ほーい」
「いってらっしゃーい」


幸せーなオムライスを頬張りながら悠人さんに言われて席を離れていく蓮人を見送る。
まあ、すぐに帰ってくるんだけどね。


「さて、アイツらは柚月ちゃんにどんな反応を示すか…」
「どんな人かわからないんで…予想は立てれないですね」
「まあ、楽しみにとっておくか」


悠人さんはそう言うと、人数分のグラスにお茶をなみなみと注いだ。





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