謎の女子集団の波をやっとこさの思いで抜け出して、私は息絶え絶え教室に入る。
ちなみにさっき貰ったチョコは腕の中。つまり、靴箱のチョコを鞄に隠した意味は無くなった。男子の視線が痛いぜちくしょう!


貰ったチョコはひとまずロッカーに入れ、私は今朝の精神的な疲労を癒すために机の上で突っ伏していた、が。



「……なんや白石、朝から死んだ魚みたいな顔して―――って、うぉ!?まさかロッカーのアレ全部チョコかいな!!?」


そこでタイミング悪くやって来たのは謙也。
つーか君は何しに来たんだ。そろそろHR始まるだろうに。



「……見れば分かるやろ。で、なん?」


「いや、ちょっと数学の教科書忘れてしもうて。貸してくれへん?」


あぁ、そういうことね。確か数学の教科書は引き出しに―――。









ドサドサドサっ。










「………」

「………」


引き出しから教科書を引き抜いたと同時に、大量に何かが落下した。
私はその落下物を無言で拾う。





「……チョコ、やんな」

「……せやな。チョコやな」



そう謙也の言葉に同意したはいいものの。また増えたチョコに、私は段々嬉しいというよりも恐怖を抱き始めていた。

朝からこの調子で、今日1日耐えきれるのか、と。



結果、そんな私の予感は見事に的中することになった。


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