side ユウジ




「……で、お前は何をそんなにイライラしとるんや?」


「……別に」


「まさか、本気であないなこと思うとるんとちゃうやろ?」


「……それは、」





白石が部屋を出ていった後も、忍足はじっと俯いたままやった。
ついさっきまで、白石に暴言浴びせて泣かせとった張本人とは思えへんわ。





「……白石、追いかけんでええんか?」


「……俺、あいつ泣かせるのこれで二回目やねん。それに、今の俺にあいつのとこいく資格なんてあらへん」



なんやねん、資格って。そないなもん必要ないやろ。



「忍足クン。とりあえず、なんであんなこと言うたんか教えてくれへん?」


金色がそう問うと、忍足は躊躇いがちにぽつぽつと語り出した。





「なんや、悔しかってん」


「……?」


「……ほら、白石ってなんでも器用にこなしてまうイメージあるやろ?せやのに、今回はあんまり上手くいかへんくって。それで、なんや俺の方が悔しゅうなってしもうたんや」





あぁ、そういうことか。
でもな。



「……上手くいかんで悔しかったんは、忍足だけやないやろ?」


「……」


「たくさん頑張ったはずなのに上手くはいかん、挙げ句親友にその努力すら認めて貰えへん。
……ホンマに悔しかったんは、一体誰なんやろうな?」


「……っ、分かっとるわ」



なら。



「――やったら!はよ追いかけろや!今一番苦しんどるのはお前やないやろ!?」


「――っ!」



直後、俺の言葉に弾かれるようにして忍足は部屋を飛び出していった。





――俺に出来るのは、背中を押すとこまでや。

ここから先は一人で頑張りぃや、忍足!






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