「白石!だいぶこっちはまとまって来たさかい、今日からまた練習に来てくれへん?」



なんて言われたのが、なんと本番三日前の今日だと言うのだから驚きだ。



「とりあえず合わせて見ましょうよ!あ、白石クンは普通に歌っとってや!色々合わせるんはこっちでやるわね♪」



それはありがたい。じゃあ私はとりあえずカラオケ感覚で歌えばいいのかな?


というわけでようやく本格的な練習が始まったわけだが。










「白石ぃ!そこ音外すなや!」



「アカン!テンポ早すぎや!もっとちゃんと音聞かんかい!」



「ん〜、もうちょっと低い声出ぇへん?」





お前ら揃いも揃って鬼畜すぎだろぉぉぉっ!!


素人相手に一体どんなクオリティを求めてんだよ!ていうか、私たちってそもそもテニス部じゃん!バンド部じゃないじゃん!無理無理、私に出来っこないってこんなの!





「……白石、お前ちゃんと練習しとったんか?」





……あ、流石に今のはカチンと来たわ。

人生の中において何よりも努力することに比重をおいてきた私としては、今の謙也の一言はちょっと見逃せないかな。

……ちょっぴり涙目になってるのは内緒。





「……アホ言うなや、ちゃんと練習しとったわ!」


「……ホンマかいな?実はバンドの練習なんかほったらかして、どっかで遊んどったんとちゃうん?」


「……っ、」





――なんなの、それ。

私、今まで部活でもサボったことなんて一度もなかったよ?
今回だって、皆に追いつこうと寝る時間も削って頑張ったよ?
私なりに、精一杯努力してきたつもりだったよ?

なのに、なんで。



なんで、





「……そない言うんやったら、初めから俺なんかに頼むなや!」



「白石!」


「白石クン!?」




……ああ、駄目だな私。ちっとも成長してないじゃん。

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