「いや、俺はわかったで!」



ほぅ、一体何が分かったんだい迷探偵?



「この前までの白石とは明らかに違うもんが、一つだけあるんや」


「焦らさんとはよ教えろやヘタレ」


「せっかちなやっちゃなー。あとヘタレ言うなや。

……ええか、白石。自分、今日ボール打っててどない思った?」


「なんや気持ちええて思ったな」


「なんや卑猥やな」


「万年発情期は黙っとれや一氏。

……ほな、前まではどない思って打っとった?」


「……そら、」



そりゃあもちろん、ちゃんと球が入るかビクビクしながら打ってましたよ。元々攻撃苦手だしね。それに、ほら、チキンですから。

あ、ちなみにそこのヘタレとは違います。私はやるときはやるもんね。

……多分。





「……少し、ビビっとったやろ?」


「……」




まぁ、否定は出来ないかな。うん。
しかしまぁ、謙也にドヤ顔でこんなこと言われるとなんか腹立つな。




「つまりはそういうこっちゃ!」




つまり、



……どういうことだってばよ?



「あぁ、なるほどな」



え、ユウジってばもう分かっちゃったの?



「なんや、分からへんか?」


「……、」





だからドヤ顔すんなっての。
しかも言い返せないから尚更悔しい。ちくしょう。





「――『自信』や」


「……は?」


「これが今まで白石に足りんかったもんや」


「……そか?」


「……なんや、自覚あらへんかったんか」



自分に自信が全く無いこともないけど、別にナルシストってわけでもないからね私。ていうか、そんな人に分かる程に常日頃自信満々なのもどうかと思うよ。

でもまぁ、人並み程度の自信は持ちあわせてるつもりだったんだけども。





「毎日あんだけ練習しとったんや。こんぐらい出来てもおかしゅうはなかった。せやけど、今までは出来へんかった。何でやと思う?」



「……努力不足?」



「アホか!別に今はボケんでええっちゅーねん!」




いや、別にボケたつもりはなかったんだけどな。
なんかおかしかったか?今の。



「つまり、今までは自信がなさすぎたってことやな」



おお、ユウジナイス解説。なるほど、そういうことか。



「ほな、今は自信ついとるってことかいな?」


「せや。多分やけど、あの試合の前に一、二試合勝っとったやろ?それで無意識のうちについとった自信が、ギリギリに追い詰められたあの試合の中でようやく華開いたっちゅー話や!」


「……はぁ」



なんだか途方もないような話だな。いや、一応自分のことなんだけどさ。


ともかく、だ。

謙也が言うには、私に無意識ながら自信がついたおかげで、プレイにも磨きがかかり今までの練習で培って来た私本来の力も発揮出来るようになった、とのことらしい。
なんというテニ○リマジック。

やったね!今日から私も超次元テニスプレイヤーに仲間入りだ!





……何故かな。自分で言っててなんだけど、あまり嬉しくないや。







(嬉しいのと、驚きと)

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