そして迎えた新人戦当日。



二年生と私を含めた一部の一年生が出られる今回の大会。
残念ながら団体戦のメンバーは全て二年生で、私たち一年生はみんな個人戦での出場となる。まぁ大会での実績などがあるわけではないし、当然と言えば当然だけど。
そういう理由もあってか、今回の大会はあんまりプレッシャーも感じることなく、純粋に試合を楽しめるんじゃないかと思う。なんだかわくわくするね。






「………あ、あかん。緊張で手震えてきた……」




なんて言ってる側から、緊張で震えてる子が隣にいるけどさ。




「……何言うとんのや。自分、全国で試合出とったやないか」


「ち、ちちちゃうねん!あれは言うて負け試合やったからええんや!でも、今回の試合は結果によっちゃレギュラー入りに関わって来るんやで?そらビビるわ!」



やる前から負け腰なのは感心しないな。とはいえ、その気持ちは分からなくもないが。






「まぁそないビビってもしゃーないやろ。ほら、これでも飲んで落ち着きぃや」


「おおお、おんっ!
………あ」





とにかく落ち着かせようとして、私が手渡したお茶をも謙也は見事に滑り落とした。多分、今の彼には何をやらせても駄目な気がする。

うん、そう考えておこう。




「それよりも!」


「ん?」


「なんでそないに冷静なんや白石はっ!」


「……さよか?」


「ああああっ!それや、それ!ホンマさっきからなんやねん!なんかビビっとるん俺だけみたいで、なんやめっちゃ恥ずかしいやないかっちゅー話や!」


「そら、すまんかったな」



そりゃあ精神年齢は三十路越えだからね。ちょっとやそっとのことじゃ――って何言ってんだ私は!




「ああああっ!もう別にええねん!俺はヘタレなんやぁぁぁあっ!」


「あ、ちょっ」




なんて息つく間もなく、謙也は慌ただしく去って行った。



まぁ、そろそろ試合も迫ってるしウォーミングアップでもしとこう。



謙也は……うん。大丈夫だよ、多分。


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