「へぇ〜、この子が噂の白石君?なんや、めっちゃ可愛えぇやないのん!」 「忍足の言うとったこと、ほんまやってんなぁ!」 「みんな落ち着きぃや、白石君びびっとるで!」 あの、その、すみません。 誰か助けて下さい。 そもそも、何故こうなったのか。その経緯を説明しよう。 ―― 「あの、今日からこちらで一緒に練習させて貰います。よろしゅうお願いします」 試合の翌日。 結局入れ替えは私一人だけだったため、私は一人勇気を振り絞って経験者組の前で挨拶をした。 流石にかしこまった挨拶はせんでええやろ(入部した最初にちゃんと紹介はしてる)と思って軽く挨拶したら、続けざまにあちらこちらからひそひそ声が聞こえてきたので軽く心が折れた。何このイジメ。 まぁそれほど私に対して興味はなかったのか、大抵の人間は挨拶が終わるなり思い思いの場所へと散っていった。 しかし、一部の人間は何故か私の方へとやって来たのだ。 「おぉ、白石!よぉ来たな!」 「よぉ来たな……って。何言うとん、同じ部活の敷地内やないか」 「いや、ちゃうで。隣同士のコートっちゅーても、その差はめっちゃ大きい!」 「……さよか」 トップバッターはやはりと言うべきか、自称スピードスター忍足謙也。 それにしても、めっちゃ大きいってなんだ。表現として、歴然とかもっといい言葉があるだろ。 ……あ、まだ私たち中一だったっけ。だったらしょうがない。 「……あ、ついでにみんなに紹介するわ。金色、一氏、小石川ー。はよこっち来ぃやー」 「……へっ?」 謙也以外にもこちらへ向かって来ていた人影。それらの歩みが加速し、そして。 冒頭に戻る。 |