球拾いも終わり、ようやく私たち初心者組のサーブ練習の時間になった。とは言っても、練習出来るのは先輩たちが休憩している間だけ。 短時間で効率良く練習しなくちゃね。 まず、軽く一球。 「………っ!」 私が打ったボールはそれなりのスピードで、何とかサービスエリアに入る、が。 ……ヤバい、思ったよりも難しいかも。 本音を言うと、前世での経験もあるのだから、もっと上手く打てると思ってた。 でも、やはり身体の勝手が微妙に違うのだ。 事実、実際に打った球はイメージよりもかなり遅く、狙ったコースとも全く異なる場所に入ってしまった。 「……あかんあかんあかん」 なんてぶつぶつ唱えながら、私は再びボールを構えた。 イメージより、動きを見るんだ。 ボールの動き、腕の動き、ラケットの角度。 そして何よりも、今まで練習して来た自分自身を信じなくては。 「……ふっ!」 二球目。 パァン、という打球音とともにボールはサービスエリアへと向かう。先ほどとは違い、スピードも早くコースも悪くはない。最も、まだまだ改善点はありそうだけど。 でもまぁ、初日だしとりあえずこんなものだろう、だなんて一人で納得することにした。 そしてこの時、じっと見つめる視線に、私は気付くことが出来なかった。 |