「なんや?誰か探しとるんか?」 「えと、テニス部の顧問の先生を探しとるんですが……」 「あぁ、それやったらあそこにおるで」 そう言って、先生はある一点を指差した。 しかし、指差した方向には、オサムちゃんではなく見知らぬ顔の先生。 ……え?なに?オサムちゃんが顧問じゃないの? まさかの展開に戸惑う私を、先生は不思議そうに見つめる。ここで不信がられるのも色々と面倒なので、とりあえずお礼だけ言って足早に顧問の先生(仮)のところへ。 「すみません、入部届けを出したいんですけど……」 「あぁ、新入生か。適当にそこに置いといてくれへん?後で見とくから」 言って、ちらりとだけ目を通すと、すぐに入部届けを返されてしまった。なんと適当な……。 少し呆れつつも指定された場所を見てみると、確かにテニス部の入部届けがいくつか置かれている。 ……ほんまに顧問やったんか。 「……えと。ほな、失礼します」 「あぁ、せや。今週一週間は体験期間やから、適当に参加してくれればええで。じゃ、また部活でな」 そう言って、先生は再び机の書類に目を通し始めた。 ……なんか、思ってたのと違うなぁ、と。 少し戸惑いを感じながらも、私は職員室を後にした。 (期待と少しの不安) |