もちろん私はテニスをまたしたいと思っていたから、退院後は必死にリハビリをして、当然テニスは今後も続けるつもりでいた。

しかし、手術前に医師から伝えられたのは、残酷過ぎる現実だった。





『手術に成功したとしても、もうテニスは出来ないでしょうね』


その他にも、テニスに限らず激しい運動は避けろだとか、今後は基本的に装具を着けて生活するようにだとか言われた気がする。しかし、私の耳にはその一言が深々と突き刺さっていて、あまりよく覚えていない。










そして、それを期に私はテニスを辞めた。




もちろん、医師の宣告通り、すぐにテニスを辞めることできなかった。どうしてもテニスを諦め切れなかった私は、退院後に何度かテニスコートに足を運んでは、またテニスを続けられることを信じてひたすら壁打ちで練習した。しかし、膝に負担をかけられない当時の私の体では、インパクトの際の重心移動が十分に出来ず、結果、腕の力だけで無理やり打ち出したボールのスピードは、レギュラーを勝ち取った頃の半分にも満たなかった。


また、私は走ることも満足に出来ない身体になっており、もし本気で走ろうとすれば、膝に負担がかかり激痛が走る。そうして無理を押しすぎた結果、再発して病院送りになることも多々あった。



そうして何度目かの病院送りで、医師からこれ以上テニスを続ければ走ることはおろか、歩くことすら出来ずに車椅子生活になるだろうと忠告を受けた。




こうして、度重なる医師からの説得の結果、ようやく私は自身の状態を受け入れたのと同時に、テニスを続けることを諦めたのだった。


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