越前リョーマ、十二歳。
非の打ち処のない美少女である彼女は現在、二人の男からの熱烈アプローチを受けている。


「越前。俺と付き合ってくれ」


片や自らの通う中学の生徒会長兼男子テニス部部長、手塚国光。


「当然俺様だろ?アーン?」


片や名門私立氷帝学園生徒会長兼テニス部部長、跡部景吾。
何やら二人のうちどちらかを決めねばならない状況らしく、リョーマは困った。
どちらも肩書きや責任感は似たり寄ったり。
テニスの腕も申し分なく、容姿も美男子と呼ぶに相応しい。
性格の折り合いはと言えば、あまり深くは知らないので何とも言えない。
そこで。


「ねぇ。じゃあ今から俺がする質問に答えて。それで一応考えてみるから」


一つの奇策を思い至った。













Q.貴方の血液型は?

T.O型だが
A.アーン?Aだ


Q.今現在悩みはありますか

T.あるな
A.あるぜ


Q.その悩みは幾つありますか

T.大体五、六だな
A.数えきれるかよ


Q.生徒会長を兼任してる二人ですが、生徒の名前はどれくらい覚えていますか?

T.全学年の委員とテニス部員ぐらいだ
A.全校生徒の三分の二くらいか?


Q.他人からの相談事はよく受けますか?

T.そうだな。比較的多いかもしれない
A.それなりにな


Q.相談を受けた場合どう考えますか?

T.相談をしてくる者の多くは既に自分なりの結論を朧げながら持っている者が殆どだ。ならば俺が何を言ったところで意味はない。聞き手に徹する
A.受けたからにはそいつの考えを尊重してやるぜ。こいつならこう考えるだろう、とかな


Q.俺が貴方の意見に猛反対しました。どうする?

T.他人ではあるからな。意見の食い違いは必ずあるだろう。話し合いの上で妥協するか互いの意見を尊重するかを決める
A.俺様の意見に反対する奴なんざいねぇ


Q.例えば俺と貴方が付き合った場合、どう接してくれますか?

T.互いの不得手とする部分を補い合いたいと思う
A.アーン?最上級の愛情で包んでやるぜ


Q.目の前で喧嘩が起こりました。どうする?

T.仲裁する。諍いによっては何も生まれない
A.理由を問い質して話し合わせるな。一度止めたところでまた同じことをしでかしやがったら意味がねぇ













「ふーん……ナルホドね」


質問が終わり、リョーマは一人思案顔。
意味の解らない質問に、取り敢えず真面目に答えはしたが、二人にリョーマの意図は掴めない。
何事かをブツブツ呟きながらウンウンと頷いているリョーマは、一人で結論を出してしまいかねない勢いだ。


「おい。いったい何だっつーんだ」


痺れを切らした跡部にリョーマは漸く顔を上げ、そして二人を眺めて。
もう一つ頷く。


「ん?恋人として付き合うなら跡部さん、結婚して旦那にするなら部長だなって思っただけ」

「「は?」」


意味不明。
唖然とする二人を尻目に、やはりリョーマは一人満足顔だ。
寧ろ晴れやかですらある。


「あースッキリした。じゃ、俺の意見はそういうことで」


チャッと手を上げて颯爽と立ち去っていく黒髪美少女。
取り残された二人はそのまま暫く、動くことが出来なかった。






◆◇◆◇







血液型で見る男女の相性。
O型の女とA型の男の場合、男が女にハマるパターンが多い。
愛情は深く感じられるが、神経質で疑り深いため浮気や行動を逐一気にされる。
O型同士の場合、拘るところはとことん拘るが拘らないところは大雑把な二人のため、基本的に自由。
何をしようがスルーし合うことが出来るが、浮気や不倫の心配は大きい。
【血液型で見る相性診断より】


「竜崎から借りた本もまんざら外れてないかもね」


楽しげに笑みを浮かべながら歩き去る越前リョーマ、O型。
O型の特徴・周囲や物事に影響されやすい。




END


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