胎内を抉る指先がその激しさを増して、女悦の生成を止めた筈の陰部も既にトロトロとした淫蜜を分泌する。
手塚の指が動く度に鳴るクチュクチュとした粘着音に、冷え切った体内に劣情の火柱を作り上げるようだ。
既に、物足りない。


「あっ、アっあんッ」


立てられた膝が震え、腰が淫らに揺れる。
奥を暴き立てる暴挙を望むのに、与えられる刺激はその一歩手前。
足りない足りないと、陰部が切なげに収縮しては手塚の指に抗議を叫んだ。


「くに……つぅ……」


縋り付く背に爪を立て、止まらない涙でソファをしとどに濡らしていく。
ただし、溢れる涙は恐怖ではなく、愉悦の証。
淫らにしなる裸身が手塚の胸板に擦り寄って、全身に欲する物を示した。


「……脚を開け」


気付けば、頭上から響く呼吸も忙しなく。
降る声音も押し殺したように低い。
霞を投げた脳は、手塚の変化の全てを顕著に拾い上げてはゾクリとした悦楽を全身に拡散させる。
投げ出された脚は手塚の命を受けてゆっくりとその間隔を広げて。
聞こえるジジ……という鈍い音にも、先に待つ期待に女淫がヒクリと震えた。
そして、開かれた脚のあわいに、押し当てられる熱塊。
食い締めようと貪欲に収縮する陰部に羞恥を感じるより早く。


「──ああぁぁぁッ!!」


歓喜の悲鳴が、迸った。
穿たれた熱塊が胎内の奥の奥までを暴き立て、一気にその身を埋め込んでくる。
派手に跳ね上がった裸身を強引に抱き寄せられ、容赦も加減も存在しない律動が始まった。


「───ッ!あっあっあっ」


開きっぱなしの唇から垂れ流された唾液。
脳天まで突き破るような快楽に瞳は蕩け、縋る手が広い背に爪を立てた。
奥を穿たれて背をしならせれば、突き出された乳房を乱暴に揉みしだかれる。
荒い息を吐き出す手塚の唇が反対の乳首にむしゃぶり付けば、リョーマはただ髪を振り乱してよがり狂うよりない。


「やッあァッあっ、あんンッ!」


肌の衝突音すら響かせる激しさ。
正常な思考も彼方に放ったまま、淫らにくねる腰が手塚の律動を求める。
のけ反り曝した喉に喰らい付かれればキュンと媚肉が締まり、お返しとばかりに熱塊を食い締めた。
頭の中がドロドロと溶けていく錯覚。
纏まらぬ思考回路はしかし、それを容認する。
目の前の男に溶かされるなら、いいじゃないかと。
はしたなく垂れ流される淫蜜が手塚の肉棒に纏わり付いて、動きに連れて淫猥な旋律を奏でた。


「はぁッあっイ、ぃあっあんッ!も……もぉ……」


限界を訴える声は舌足らずに。
腰を振るう手塚もまた、荒げた息の合間に乾いた己の唇を舐めた。
ソレは手塚の絶頂の波を知らせる合図。
卑猥に過ぎるその仕種に、子宮が歓喜に疼いた。
そして、高まる嬌声。
間断なく深く強く穿たれる悦楽にリョーマはただただ乱れ狂った。


「あァっ!あんッあッあッ……っく……イっちゃ……あァ───!!!!」

「……ッく」


一際高く迸しる悲鳴。
絶頂に比例して一気に締まる媚肉が、手塚の精を求めて絞り上げた。
唇を噛み締め、あまりの悦楽に顔を歪めた手塚はしかし、絞り上げる肉を振り切って腰を打ち付ける。
ビクビクと震える白い肢体が、絶頂を迎えて尚続く刺激に身をくねらせた。


「やぁ……ぁッ」


そして、突き刺された奥の奥。
子宮までをも暴かれるような愉悦の中で、頭上の男の腰が震えた。
最奥の胎内に爆ぜた熱。
胎内に収まり切らない精の残滓が、コプリと音を立てて溢れ出した。


「ん……」


フルリと震えて、受け止めた惰性の証。
トロリと垂れ落ちるその温かさが心地よくて、整わぬ呼吸の中、リョーマの瞳がフンワリと綻んだ。
暫し互いの荒い呼吸が空気に撹拌し、リョーマは手塚の背を撫で、手塚はリョーマの唇を啄んで。
言葉を持たぬままに互いに戯れを繰り返す。
そうして、幾何が過ぎたか。
落ち着き始めた呼吸の元、手塚の唇がリョーマを啄み、そしてその美声に命じる。


「二度と俺を見失うな。貴様は俺の物だ」


例え、どんな事がその身に起きようとも。
傲慢な男からの命令はやはり酷く身勝手で。
そして、信じ難い程の幸福を齎した。
全身に感じる体温と、鼓動。
そして触れる指先。
髪を梳く仕種。
それら全てが手塚の物だと、解ったから。
リョーマの指先はその背から首へと移動して。
愛しいまでのその男の一部──唇へと触れた。


「──うん」






◆◇◆◇







他人に触れられて吐き気すら催す恐怖と嫌悪を感じた。
地面が揺らいで、狂い出しそうになった。
でも、貴方はいとも簡単に俺の世界を破壊して、狂わせてくれた。
世界を守る事なく、自分以外の全てを破壊して。
保ち続けた理性を支えるのではなく、全てを見失う程に狂わせて。
乱暴で傲慢な、支配者。
けれど、壊れた世界は貴方を中心に再生していく。
狂った理性は、貴方の言葉にその意思を宿していく。
優しさも労りもないけれど、貴方はそうやって俺を守ってくれる。
乱暴で傲慢で暴君な──貴方は俺の愛しい絶対者。






END


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