木と木の境に生まれた巨大な口の向こう、その酷く近くに。
微かな明かりが見えた気がした。
それも、一つや二つではなく。


「手塚さん……あそこに……」


振り仰いだ恋人へ指し示した明かりの集落。
リョーマの示した先へ投げられた手塚の視線。


──チリリ


何処からか、くぐもった鈴の音が聞こえた気がした。




act.1
-END-


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