敏感な壁を引きずりながら引き抜かれるその感触に、少女が幾度目かの悲鳴とともに跳ね上がった。
引き抜かれた指は少女の分泌した体液と、昨夜手塚自身が散々吐き出した精液とでテラテラと卑猥な様相。
指先から手の甲へ流れ始めた透明な粘液をベロリと自身の舌で舐めとる。
舌に馴染んだ味。
一度舐めとった水分の軌跡に、新たな粘液が垂れ始めた。
しかし手塚の手は彼自身の唇を離れ、その矛先をリョーマへと。
乳房を嬲る手に支えられ、その淡い刺激にフルフルと震える可憐な仕種。
快楽に耐えるように引き結ばれた、その薄紅の唇へ。


「ん……んンッ、ん……んァ、んむぅ!」


喘ぎに薄く開かれたリョーマの唇に、無遠慮に突き入れられた指先。
リョーマ自身の愛液と手塚の体液とが混じり合うそれが、舌に塗り付けるように蠢く。
苦しげに眉を寄せるリョーマが反射的に押し出そうと舌を巡らせれば、指は更にそれに絡み付いた。
指が、まるで生きた性器のように。


「ぅン、んっん……は、ん……」


次第に琥珀は熔けだし、拒絶していたはずの舌が自らその身を捧げ出した。
たった二本の指に翻弄され、抜かれそうになれば惜しむように舌を絡めては吸い付いて来る。
指をしゃぶることでフェラチオを感覚的に連想するリョーマの敏感さは、偏に手塚の躾の賜物だ。
チュパチュパと音を立てて自らの体液を啜り、指先を性器に見立てては舌先を滑らせ吸い上げる。
時折悪戯に指を折り曲げて上顎を引っ掻けば、鼻にかかる甘ったるい声が漏れ聞こえた。
その淫猥に過ぎる舌戯を受けて、手塚が動かないはずがない。


「淫乱が……」


唸るような声音は、酷く掠れた。
唇がピリリと乾きを訴え、熱を持った舌で自らを湿らせる。
おしゃぶりに夢中なリョーマを指先だけで翻弄し、左手をワイシャツから撤退。
リョーマの意識は、完全に指先にのみ。
抜き出された左手に気付く気配は、ない。
心地好い弾力を楽しんでいた左手は、ゆっくりと下降する。
指先をしゃぶる水音に混じって、鈍く小さな金属の摩擦音が床に染みた。


「ふ……ぅ、ん……はふ……はぁ……──ッヤぁあ───ッ!」


陶然と指先を愛でる唇から、甲高い嬌声。
そして、華奢な肢体が一際派手に跳ね上がった。
細い腰を鷲掴む手塚の手。
指先への愛撫に没頭するリョーマを尻目に、淡い刺激に濡れそぼる女陰を凶悪に怒張した男根が貫いた。
唐突な侵略に蠢動する内壁に、手塚の容貌が劣情に歪む。
言い知れない熱が手塚の脳を、体を席巻し侵食する。


「あ、あゥッ……や、あァッ!」


誘う淫壷に誘われるまま腰を突き込めば、華奢な体は簡単に手塚の思うままに揺れ動く。
ガクガクと震える足は既に役目の放棄を叫び、少女の上体がガクリと銀板に沈んだ。


「あ、あ、あ、あゥッん、ん」


湿った肉壁は突き上げれば突き上げる程にその潤いを増し、淫猥な咀嚼音を響かせる。
男根をくわえ込み、噛み締めるように締め付けては奥へと誘い出す。
性戯のいろはも知らない真っさらな少女を開拓したのは、他ならぬ手塚自身。
しかしリョーマの体がここまで淫靡に開花する事など、想像など出来ようか。
シンクに縋り付き、男に思うさま揺さ振られながらあがる嬌声。
腰を突き付ければ簡単に揺れ動く体、絡み付く粘膜。
それが男の劣情をどれほど刺激するのか、リョーマは知らない。
背後から胎内を貪る男が吐く、溜息混じりの熱さを孕む吐息。
唇を舐める仕種。
劣情のシグナル。


「ぁン、ァんッ、んッ───んやァッ!」


グチャグチャと淫猥な音色を奏でながら、混じる微かな悲鳴。
悦楽に溶けきった声が示す抗議は、手塚の腕が起こした暴挙へ。
手塚の右腕がリョーマの右足を抱え上げ、淫楽に震えるソレをシンクへと縫い付けた。
リョーマの左足は取り残され、爪先でフローリング。
強引に、しかも異様な形に開かされた足は少女に手塚の形を強く教える。


「はァッあ、あッやッ、やァァッ!」


右足をシンクに縫い付けたまま強く突き上げれば、力を失っていたはずのリョーマの腕がビクリと上半身を跳ね上げた。
ガツガツと腰を打ち付ければ、今までより強く、そしてイヤらしく絡み付いて来る粘膜が手塚の顔を歪める。


「いヤァッ!あンッあッはンッ!お……く……奥……入っ、ちャ……やァンッ!」


片足を担ぎ上げられ、いつもより深い場所に届いているのだろう。
ビクビクと跳ねる内壁が手塚を絞り上げ、拒絶を叫ぶ唇からは気持ちよさげな甲高い声しか聞こえない。
無意識にか、それとも逃れようというのか、揺れる細い腰は手塚の雄を煽る事しかしない。


「てづ……かさッ……あァッ!しきゅ……グリグリしちゃ……やァ……!」


常よりも奥を暴き立てる男根が最奥を抉りたてれば、リョーマの痩身がビクビクと震え更に腰を艶めかしく揺らした。
女陰の奥にある子宮口を硬く張り詰めた先端でこじ開けるように突き込み、手塚の唇が吐く劣情の吐息。
涙混じりのリョーマの嬌声と、時折堪え切れずに漏れ出す手塚の吐息。
昼も近しい日の中、似つかわしくない粘膜の奏でる水音と卑猥な声。
シンクに縋るリョーマの手が、キュウと拳を作った。


「やァッあッあンッあんッあゥッ!あんンッ、イ……くぅ……イっちゃ……あァッあッ!てづ……さぁッ……イッちゃうゥ!」

「はッ……ック……」


悲鳴じみた懇願は、胎内を暴く手塚自身にも如実に訴えかける。
キュウキュウと吸い付き奥へと、そして搾り出すように群がる媚肉が起こす卑猥な痙攣。
堪え難い快楽を手塚に叩き付けるそれは、リョーマの絶頂を示す雄弁な合図。
堪らず漏れた声は、手塚の喉を流れる汗とともに震える少女の背に染み込んだ。


「あッあッあッあ、あ、あ、あ、あ、い……イくッ……イくゥ……!」

「……はッ……イけ……淫乱」


間断を無くし、小刻みに、深く肉芯を突き込めばリョーマの声が切迫し、長い黒髪を振り乱して絶頂を叫ぶ。
その顎を背後から鷲掴み、手塚の唇が吐き出す解放命令。
耳朶へ直接吐き出される劣情の吐息と、低く掠れた美声。
そして鼓膜から脳までを蕩かせるほどに甘く甘美な──侮蔑。
瞬間。


「ひァッあッあっやァ───ッ!!」

「ック……!」


弾ける。
甲高い悲鳴とともに一斉に群がり、手塚の精を求めて絞り上げる媚肉。
その余りの快楽に唇を噛み締め、男根を限界まで胎内に抉りこむ。
熱い肉芯が弾け、手塚の遺伝子がリョーマの胎内に撒き散らされたのは、その直後。
ビクビクと震える女陰が透明な水を幾筋も噴出し、絶頂の激しさを告げた。


「は……あ、ん……ん、手塚……さんの……いっぱい……」


胎内に感じた熱に陶然と零れた呟きは、幼いリョーマが口にするには淫らに過ぎる。
絶頂の余韻に震える体は白く華奢。
にも関わらず醸し出される雰囲気のなんとも匂やかな事。
射精の虚脱感に捕われ、リョーマの傍らに手を付いたまま乱れた吐息を繰り返す手塚もまた。


「ふぁん……ん……」


乱れた吐息を繰り返す手塚が一つ息を吐き、ゆっくりと腰を引いた。
途端、敏感な胎内を擦られる感触にあがる甘い悲鳴。
シンクから垂れるリョーマの左足に、白く粘着質な体液が一筋伝った。













高く昇りきった太陽が眩しい昼時。
とある高級マンションの最上階に住まう二人の青年少女は、ソファの上。
BGMがわりに垂れ流されるテレビ番組の前で長い脚を組み、読書に耽る男。
そしてその傍ら、男の肩に頭を預ける少女。
少女の瞳はトロリと蕩け、吐き出される吐息も心なしか甘く色付いたもの。
少女が身に纏うものはサイズの大きすぎるワイシャツ一枚。
自分自身で体を支える事ができず、男の袖に小さく覗いた指先で縋る。
男の指先がページを一枚、右から左へ。
少女の瞳が、トロトロと夢の淵へ。
少女の意識が途切れる直前、頭上から聞こえた舌打ち。
次いで、フワリとした浮遊感とともに全身を包む温もり。
夢と現を行き交いながら、少女はその心地よさに頬を擦り寄せその温かさに身を沈めた。










着いた先は真っ白な波の上。
横暴なキングに翻弄されるお姫様は、キングの手で夢の中。
横暴キングと優しいお姫様の、ささやかなある日の出来事。




-END-





→後書き

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