暴力。無理矢理な感じなので注意。エロ有です。





また子は憂鬱のつまった嘆息と同時に携帯を閉じた。高杉が呼んでいる、とぼんやりと見覚えのある生徒に言われて校舎の外れにある廃教室まできてみたもののいくら待っても当の高杉はこない。メールを送ってみたけれど返信はなかった。そういったことにまめなほうではない高杉の返信が無いのは日常茶飯事なのでさして傷つくようなことでもなかったが、こういうとき少し困ってしまう。どうやらからかわれたようだった。よくよく考えてみればわざわざこんなところに呼び出すような手間の掛かることを彼がするとも思えなかった。そう結論付けて、また、嘆息。ほんの少し、少女漫画じみた展開を期待したりもしたけれど。あまりにご都合主義な想像に、ふつふつと羞恥心が煮え立って、また子はかき消すようにふるふると頭を振った。
3zの生徒だったような気がしたので少し信用してしまった。元々髪の毛の色や高杉と一緒に居ることで目をつけられることも多かったので今回もその類だろうと判断し、また子は座っていた椅子から立ち上がる。教室は長い間使われていないようでずいぶんとくたびれていたが、最近大掃除があったおかげでそれほど汚れてもいない。けれど、夕日を浴びてにゅうと伸びる影は今にも勝手に動き始めそうで、積み重ねられた椅子や机、人の気配がまるでない様子に良い気もしない。
早く帰らなければと思う反面、伸びた影の寂寥と隠然とした引力に眼を離せずにいると、扉の開く音が静謐を揺らした。 高杉だろうかと期待と安堵を混めた視線を向けてみれば、黒い髪も制服もそこにはなく、まったく逆の白を纏った男の姿にまた子は期待に輝かせた瞳を曇らせる。
「なにしてんの?」
また子の露骨な表情の変化に銀八が苦く笑う。この3zの担任のことが、また子はあまり好きではない。教師なんて誰であろうと好きではないが、その手の画一化された理由とは別の問題として、好ましくない。
「別に。なんでもないっス」
思いもよらない人物と少しでも期待してしまった自分への苛立ちを隠さずに険のある口調でまた子は答える。銀八は興味もなさそうに相槌を打って、後ろ手で扉を閉めた。下校時刻の最後の見回りに来たのだとばかり思っていたので、下校を促しもしない銀八の行動にまた子は訝る。だが追求するほどの興味も湧かないので構わず間を縫うようにして横を通ろうとすると、腕を捉まれた。意図の読めない強い力にまた子は瞠目して捕らえた主を見上げる。
「高杉のこと待ってたんじゃねェの?」
嫌な形に歪んだ口元から言葉が落ちるのと同時に、がちゃり、と扉の施錠される音が二人だけの教室に響いた。銀八の笑みと閉塞された空間に本能的な警告を感じ、また子は腕を振り払おうと身体を捻る。しかしそれ以上の力で引き寄せられ、反応する間も無く急に手が離されたかと思うと追い討ちをかけるように肩を押された。乱された重心に身体が追いつかずにそのままぐらりと倒れるしかなかった。痛みに顔を顰めたが、すぐに立ち上がろうとざっと辺りを見渡して、その時初めて扉が先ほど施錠されたものひとつしかないことに気づいた。それに気を取られた微かな隙をついて、腹部に銀八の爪先がめり込んだ。
「っかは…!!」
内臓を潰されるような激しい衝撃に、一瞬、呼吸さえも忘れて、床に伏せる。男の容赦のない蹴りの痛みと咳き込む苦しさに立ち上がるどころか、打たれた腹部を抱え、胎児のように身体を丸めることしかできなかった。また子が苦痛に悶えている間に、銀八は自分のネクタイを解きながら、今度は脇腹を踏みつける。
「ぅあぁ…っ!!」
悲鳴を上げるまた子を銀八は嗜虐的な眼で見下ろし、腕を取った。
「や…ぁっ、離せっ!」
先ほどの暴力に怯んでいないわけではなかったが、それでもただ怯えているわけにもいかず痛みを堪えて捕られた手に力を混めて振り解こうと足掻く。意のままにいかないまた子に焦れた銀八は舌打ちするとまた子の頬を殴り、衝撃で床に仰向けになったところを馬乗りになった。骨ばった手のひらが細い首を掴み、絞める。
「…っ…ぅ…」
「俺もあんま酷いことしたくねーんだよ。だから大人しくしててくれよ。な?」
加減を感じさせない暴力に視界が滲み、ぐわんと重く押しつぶされるような耳鳴りが頭蓋骨を圧迫する。また子は呼吸を阻害する銀八の腕を引き剥がそうとするが、力なく肌を引っかくような弱弱しい抵抗にしかならなかった。
意識が遠のき生命の危機さえ感じた頃、締め上げる手のひらと圧し掛かった身体が離れた。
自由になった気管に呼吸が追いつかず、咽ぶ苦しさにまた子の瞳に涙が滲む。その間に両手を一纏めにされ、ネクタイで拘束された。 突然訪れた現状の悲劇についていけずに、困惑した思考は更に絡まる。ただ分かることは、これが仕組まれたものだということとこの後に醜悪といっていいような悲劇が待っているだろうということだけだ。
内腿に触れる手のひらの感覚にビクつく間もなくショーツを剥ぎ取られて、ひっ、と息を飲む。
「やっ…、っぅ!」
反射的に、ままならない手足で抵抗すると、すかさず頬を殴られた。
「物分りが悪ィな。まだ足りねぇの?」
怖気づいた心を叱咤して銀八を睨みつけるが、当の銀八は相変わらずへらりと軽薄に笑うだけだ。この行為に何の罪悪感も後ろめたさも感じえてないような態度。また子を映す眼も、生徒を見るものどころか、ただ甚振ることが目的の無機物を相手にしているようで、その温度の低さに禍々しい不安が胸の中を渦巻く。
「あ、んたこそ…こんなことして、ただで済むと思ってんスか」
声は微かに震えてしまって、言葉の中の怯えを伝えてしまう。なにより外に吐き出た恐怖心はまた子自身をいっそう追い詰める。
「ご心配どーも。でも、ただじゃすまないのは俺じゃなくてお前のほうじゃねェの?」
言い終わると同時に、なんの躊躇もなく、銀八の拳がまた子の頬に当たった。悲鳴を上げる余裕もなく、がつん、がつんと、続けて殴打される。逃げることも避けることも出来ずに、執拗な暴力の餌食にされ、痛みと衝撃で段々と視界が混濁していった。口の中で血の味が弾ける。男に殴られるのは初めてではなかったけれど、こんな風に圧し掛かられて拘束されて、自由も奪われたまま乱暴されるのは初めてだった。それも、いくつも年の離れた教師に。
大人しくなったまた子に満足したのかあるいは興味が失せたのか、暴力の嵐は止んで代わりに先ほどまで傷つける意思しか持っていなかった手のひらがそっと頬を撫ぜる。強まる鋭い痛みと凄惨に教え込まれた暴力によって、恐怖が疼いて、また子は小さく肩を揺らした。手のひらは蒼褪めた顔を伝ってゆき、乱雑に金糸を掴む。
「これでちったぁ分かったと思うけど、でもこれからが本番。大丈夫、大丈夫。大人しくしてたらそれなりに優しくしてやるって。」
暗い笑いを含ませて金糸を手放すと、銀八は無理矢理開かせた両足の間に身体を割り込ませた。冷えた指先が閉じた秘唇をなぞる。また子は引き攣ったような悲鳴を上げ身体を強張らせた。
「や…だっ、やだ…っ」
震える声で訴えるまた子だが銀八と視線がかち合うと、ひゅっと呼吸が止まって自然と萎縮してしまう。その様子を嘲笑うように、指先が捻じ込まれた。
「ーーーぁっ!やぁああ!!」
まだ誰も受け入れたことのない固く閉じたそこを無骨に割り開く指への嫌悪と恐怖で悲鳴を上げる。膣内を荒らすそれに、ぷつんと糸が切れたまた子の瞳からは大粒の涙が溢れだし、嗚咽が漏れた。逃げようと身体を動かすが、銀八がそれを許さない。指が二本、三本と強引に増やされ、狭い膣内をいっそう蹂躪する。ぞんざいに挿入された痛みにくわえて、指の腹が膣襞をなぞるたびに気持ちの悪い感覚が這い上がった。未知の行為に恐怖がぶわりと背筋を駆け抜ける。
「っい、ぅあ、いた、ぃ…っやだぁやだっ!」
ぎゅっと目を閉じ身体を強張らせ、嗚咽交じりに拒絶の言葉を吐くけれど、いくら泣き喚いたところで現実は否定できない。好きでもない男に性器を玩弄されている嫌悪に押しつぶされ呼吸も上手くできなかった。今更抵抗し続けたところで力の差は歴然だった。さきほどの暴力の苦しさを思い起こすとやはり恐怖で萎縮してしまう。打たれた頬がじんと痛んだ。
指が抜かれ、金具の擦れる音が鳴る。その正体を察したまた子が濡れた瞳を見開き、銀八を見た。その青い瞳の中に怯えと痛ましいほどの懇願を見つけて銀八はくつくつと喉の奥で笑い、嘲笑の色を濃くして口を開く。
「やっぱ、はじめて?もうとっくにあいつにヤられちまったかと思ってたけど。得したな。」
暴虐な愉悦さえ窺えるような声音と笑みは、これ以上なくまた子の怯懦や絶望感を煽る。
「ぃ…や、やめて、…おねがっ…」
泣きじゃくりながら懇願するまた子の願いを聞き入れるはずもなく銀八は自身を膣口に押し付けた。また子の身体がびくりと痙攣して、瞳を覆った膜は次から次へと生まれ変わる。目の前の悪夢に言葉が出ずに、戦慄く唇からは震える吐息が漏れるだけだった。否定するように弱弱しく頭を振ると、また涙が零れて白い肌を伝う。獣にねめつけられた被捕食動物のように身じろぎ一つ出来ない。銀八の手のひらがまた子の柔い唇をぐっと覆って、それが余計に支配的な様相を思い知らせる。最後の足掻きとばかりにまた子の青い瞳が哀願するように見つめると、翳った赤がゆったりと嫣然の形をとった。劣情よりも嗜虐の気配を濃くしたそれは、全てを根こそぎ奪おうとしている。今まで刻んだどの瞬間よりも怖かった。何処にも逃げ場などないと悟って、先輩、先輩、と声にならない声でまた子は悲痛に呼ぶ。けれど、逃げ場がないのと同じく、助けなど、やはりない。
「うぅんんんーーッ!」
まだ受け入れる準備もままならない性器を無理矢理押し開かされる激痛と嫌悪に絶叫した。身体を強張らせば強張らせるほどぎちぎちと胎内のモノを締め付け、膣襞が痛いほどに絡みつく。銀八はまた子の口を覆っていた手のひらを離すと、眉根を顰めた。
「きつ…っ、もうちぃっと力抜けよ」
「っ、いたい…!も、むりぃ…っ…う、うごか…っさな、で…っ!」
懇願に構わずそのまま強引に押し挿れて、最奥まで辿り着く。その頃には膣と陰茎の隙間から赤い筋が幾本か伝った。
「はは、可哀想になァ、ブチ破ったのが愛しの晋助先輩じゃなくて。」
銀八が高杉の名前を出した瞬間、また子の表情が今までとは違った形で歪む。最も残酷な方法で抉られ引きずり出された感情を、羽根をもがれてもまだ飛ぼうと地面でもがく蝶を見下ろすときのような、そんな慈愛と侮蔑を込めて銀八がせせら笑う。
「いいねー、その顔」
髪の毛をつかまれ、背けることができずに強引に口付けされて咥内まで蹂躪される。微かに香る煙草の味と、軟体動物のように絡まる舌の味わったことの無い感覚にぞくぞくと背筋が粟立った。
「口んなか切ったんだな。鉄くせぇ。そんで、こっちもはじめて?」
唇を離した銀八が訊ねると、また子は答えずに顔を背けた。ぼろぼろと溢れては頬を伝う涙を舌で舐めとられ、息を飲むような悲鳴が上がる。その所作は宥めるというよりは、やはり捕食に近いのだ。歯の根があわずに抑制もできない震えがカチカチと音を立てた。過呼吸寸前の痛々しさで、嗚咽を繰り返すまた子の脚を抱えなおすと、銀八はまた激しく膣内を擦った。
「ひっ!!ぅっあぁあ、やめ、てっ…!やだっ、いたいっいたい…!やだぁぁっ」
生理的な防衛で気休めに潤んだ胎内は、先ほどよりは滑らかに陰茎を抽送させるが、労りの欠片もない行為は苦痛が大きく、また子は苦しげに呻く。無残に奪われた破瓜の痛みにとても堪えることが出来ず、いたいいたい、とうわ言のように繰り返した。しかし銀八がその嘆きを汲み取る様子は無い。
制服を捲り上げられ胸も弄られたが、身体を微かに跳ねさせるだけであとは萎縮し耐えるだけだ。殴られ続けるほうがまだマシだった。せめて抵抗し続けて心だけでも守りたいのに、その望みとは裏腹に恐怖に魘され脅えることしかできない。思考がぷつんと遮断された中、痛みと恐怖に揺り動かされて心が死んでいく。身体を道具のように好き勝手に扱われて、一人の人間としての自我や価値を全て否定されたよう。
高杉のことを想うと惨めで悲しくて仕方が無かったので必死に考えないようにしたけれど、逃げようとする心が求めてしまう。今ある不幸を全てかき消すように、早く、早くとこの地獄の終わりを祈り続けてどれほどの時間が経ったのか、膣壁を抉る陵辱の痛みがようやく止んだ。
膣内を満たす異様な感覚に、ぐったりと身体を投げ出していたまた子がびくんと身体を小さく跳ねさせる。虚ろに沈んでいた瞳を恐怖で見開き、噎び泣くような悲鳴を上げた。
「や…っ!うそ、だ、っだめ!なか…やだっ、ぅあ…あ、」
身も世もなくじたばたと再びもがいて銀八を引き剥がそうとするけれど、押さえつけられた。痛みさえ覚えるその力に、もう本当に何をしても無駄なのだと最も強い絶望の波がまた子を飲み込む。目の前の男が絶対的強者であり、この男が望むことは全て受け入れるしかないのだ。暴力で捻じ伏せられ、身体を最も陰惨な形で蹂躪された少女にはこれ以上抗う力がない。
吐射を終えた陰茎が引き抜かれると、充血した膣口はひくつきながら精液を吐き出した。また子は恐ろしい現実にがたがたと、か細く身体を震わす。もしも…と身の毛もよだつ未来を想像し、その未来ごと外界を拒絶するように、縛られたままの腕で顔を覆って泣きじゃくる。
拒絶した世界へ引き戻すかのように、人工的な機械音が鼓膜を震わせた。視線を向けて、その音の源が銀八の持つ携帯であることを知り、あまりのことに泣き叫ぶ。
「いやぁあ!!も、やめてよっ!ゆるして…!」
身体を捻って必死に逃げようとするが腕が縛られた状態では容易く銀八に足をつかまれた。それを強引に開かされると、さらに何枚か写真を撮られる。無機質な小さなレンズと作られたシャッター音が怖ろしく、また子の傷ついた心をひときわ切り裂く。
「俺、高杉のメアド知ってんだよね。ま、担任つか腐れ縁みたいなもんだし?」
言外に含まれた銀八の意図を察してまた子の顔が更に蒼褪めた。呆然とするまた子の腕の拘束が銀八の手によってようやく解かれて、力なく落ちた。
「そうでなくても流す先なんてどこにでもあるしな」
「やだっ、やめて…おねが…」
どんどん涙が溢れて、言葉が詰まる。とっさに、震える指先で銀八の白衣を縋るように掴んだ。もはやパニックを通り越して思考が動かない。それだけは絶対に嫌だった。こんなこと、知られるわけにはいかない。知られればもう一緒に居られない。
「いいぜ。来島が先生の言うことちゃんと聞けたらデータ消したげる。」
微かな希望か、限りない絶望か、また子がいたいけに銀八を見上げる。銀八は白衣を掴むまた子の手をとった。皮膚を焼く熱源に触れたときのように反射的に逃げる手を、ぐっと掴んで、赤い瞳を細める。
「言っとくけど、自殺とか止めとけよ?どっちにしろばら撒くから。」
生きても死んでも辱めるという意図を含んだ言葉。何か、とにかく何かを言おうとするが、どんなものでさえ今の事態を好転させることは不可能に思えた。銀八に捉まれたところから、不安やとても耐えられるとは思えない苦痛ばかりが溢れてきて、身体中をめぐっては、引き裂いてゆく。
何も言えないまま、ひくっ、と嗚咽を漏らして脅え続けるまた子の様子に、やはり微笑んで銀八が頭を撫でる。穏やかな手のひらはこれからの惨たらしい将来を容易く可視化させた。
「また遊ぼうな、来島」
軽く放られた言葉の終わりの見えない暗闇に身体がどんどん冷えきって目の前に点々と黒い影が浮かんでは、奪われたまた子の中身を一つたりとも残してなるものかといわんばかりに食い荒らしてゆく。暗く蝕まれていくなか、高杉のことを想ったけれど、それさえ塗りつぶされていった。塗りつぶされた暗闇の重さごと深く沈んだ世界に、彼の姿は、どこにもない。