ばさばさと、目の前を落下していく。スカートや地面に広がる、赤い花。腰掛けたままの来島は瞠目して、見上げる。沖田は普段どおりの無表情で赤に塗れた来島を見下ろす。

「なんスかこれ」
「椿」
「そういうことじゃなくて」
「嫌いですかィ」
「……別に」
「俺は好き」
「…これって不吉な花じゃなかったスか」
「ぼとりと首が落ちるような花。真っ赤な血の色。気味が悪いほど、俺たちにお似合いだ。紅い弾丸なんて、特に。」
「あんたってほんと悪趣味」

困ったように薄く笑って、来島の膝の上に落ちた花を沖田は拾う。

「俺のまごころをこめて」

そっと唇に持っていった後、結わいた髪に飾った。その壊れ物に触れるような優しさがなぜか悲しい、と来島は思う。愛おしさと悲しさはどこか似ている。いつかこの指先が同じような優しい仕草で自分の息の根を止める日がくるのだろうかと考えて、やめた。沖田はこれが精一杯というような、微笑みを来島に向ける。


「誕生日おめでとう」