注:無理矢理系。やや酷いことしてます。高←またっぽい。高杉は出ません。18禁。






学生の本分である授業を無理矢理放棄させられた来島は準備室の隅でくぐもった嗚咽と涙を零す。頬が高揚しているのはしゃくり上げている所為だけではなく、苛む性の悦楽からだった。これも同じく無理矢理くわえ込まれされている。スカートの下の、充血した肉の間に覗く馬鹿みたいに幼稚な色をした性の玩具。冬服のカーディガンの上からぐるぐるとガムテープで手首を拘束され、こんな惨状で助けを求められるわけなどないのに、口にはご丁寧にタオルで即席に作った猿轡まで噛まされている。
騒ぎたてることを懸念してというよりは、ただ単にこういうことをしたくなったのだろう。おもちゃは遊ぶためにあるのだから、嬲るのを厭う理由もない。
「ちゃんとせんせーの言うとおり大人しくしてられるなんて来島はいい子だなぁ。通知表、優にしといてやるよ。親との仲、良くないんだろ?きっと褒めてもらえるって。良かったなぁ。」
恐怖に身をすくめる来島に玩具をねじ入れた銀八は、そのまま出て行ってしまい、こうして戻ってくるまで来島は時間も終わりも分からないまま放って置かれることとなった。気分次第でいくらでも続く苦痛の中に取り残され、あまりのことに泣きじゃくる来島の元に戻った銀八は猫のように目を細めて、とても楽しそうだ。
校舎でもずっと端のほうに位置するこの場所は、授業中ならばよほどのことがないかぎり誰も通らない。少なくとも、今まで呼び出された際に人の気配を感じたことはなかった。空気もひやりとしていて、寂寥どころか異様なものを感じさせる。森の奥の退廃した建物の中はこんな感じかもしれない。積み重なった本や、昔は授業で使っていたのであろう教材、木で出来た古めかしい机。埃に塗れているわけでも、荒れているわけでもないのに、何か決定的なものが朽ちている。ぽっかりと、抜け落ちている。そして、そんな場所でおぞましい行為を擦り付けられている。
施錠された扉は内側からなら簡単に開けられた。拘束されていても手段を尽くせばここから出ることはできただろう。ガムテープだって、そうきつく縛られているわけでもない。本気で捕まえていたければ、はじめのころにしたように、おもちゃにしては頑丈な手錠でもなんでも使えばいい話だ。中途半端に逃げ道を作り、あえて諦めさせるのを銀八は好んだ。心を切りさいなんで、全てを掌握するように。
来島は逃げることはとうに諦めている。狂気に四方を阻まれて、どこへもゆけない。どう足掻いたところで惨たらしく押しつぶされるだけだという諦観めいた確信があった。それを裏付けるように、赤い瞳は平生通り残酷な捕食者の色を湛えて来島を見下ろしている。
後ろには壁しかないがそれでも少しでも耐え難い暴力から逃げたくて、じりじりと背を壁に密着させた。哀れな抵抗に慈悲をかけるわけもなく、銀八の足が、来島の太ももを割り開くようにして、目当ての場所へ辿り着く。媚肉が銜えたそれに触れた瞬間、堅いサンダルに振動が伝わって羽虫のような機械音が鈍く大きなものへ変化し、それは容易に来島の羞恥心を煽る。耳まで侵されているような気がして、耳を塞げぬ代わりにせめてときつく目を閉じた。銀八が淫具をぐっと押し込めば、最奥へ強く押し付けられて、たまらず来島が身を捩った。
「うぅ…っ!」
いやいやと首を振るけれど、銀八は足を器用に動かして来島の性感帯を探るように淫具を掻き回す。労りの欠片もないただのモノのような扱いに、屈辱はとうに通り越して、ただ惨めで哀れな自分に涙が止まらない。心が削がれていく音まで聞こえそうだった。
「きもちい?こういうことされて。」
揶揄を含んだ言葉に、かぁと身体中の熱が煮え滾る。かたかたと足が震えた。そうしている間にも淫靡な機械は銀八の舵取りの赴くままに来島の膣内を蹂躪していく。膣壁と子宮口を擦られ、嬌声が上がりそうになるのを健気に堪えながらもぞわぞわと背筋がざわめき、痺れるような快楽の波を押さえつける。悦楽の蜜は来島の内側にねったりとへばりついて沈殿していく。堪えれば堪えるほど蜜の入れ物が膨らんで、その分苦痛のような大きな刺激がやってくるのは分かっていたけれど、素直に従うことはできなかった。
「っん、ぅ、ふ…っ、んんっ!」
気持ちとは裏腹に来島の身体が跳ねるように痙攣して、あと少しで上り詰めてしまうというところで、振動がとまった。解放することが出来ず行き場を失った劣情が鈍く身体を苛み、つらい。
「まだ、おあずけー」
銀八は膝を折って、来島と目線を合わせる。もっとも、来島は項垂れて、自身を思うがままに貪る捕食者を見ようとはしないので、髪を鷲づかみされることとなった。濡れた青緑の瞳が怯えを覗かせて、銀八を映す。新しい涙が次々と溢れ、紅色に染まった頬を伝った。
銀八は来島の目じりを優しい仕草で拭うと、猿轡を外す。
「泣くほどイきたかった?どうしてもってお願いするすんなら考えなくもねぇけど?」
ここで縋りついて媚でも売れば今までされたようなあるいはこれから待っている手酷い仕打ちからは逃れられるかもしれないと、磨耗され疲弊しきった心が来島に囁くが、口を噤んだまま結局一言も言えなかった。それでも、下手に口答えをした頃よりはよっぽど利口になったといえる。犬のように躾けられている、という考えが脳裏をよぎると苦しくてたまらない。
銀八ははなから来島の答えなど問題としていないのか、待つのをあっさりとやめて、壁にもたれていた身体を腕ごと引きよせた。抱きとめられるわけもなく来島は冷たい床に伏せさせられて、秘処から溢れた愛液がつぅと内腿を伝う。その感覚に背筋を小さく震わせた。
腕を拘束していたテープは剥がされ、腕の自由は戻ったものの、それも行為をする上で邪魔だからという理由でしかなく、もとより来島も抵抗する気力も無い。頭を押さえつけられ腰を上げた獣のような格好を曝すのももう何度目かになるが慣れるわけもなくただただ羞恥と後に続く陵辱にぎゅうと目を閉じた。
「ぅあ…っ」
淫具が銀八の手によって抜かれ、来島は熱の籠もった吐息とともに小さく呻いた。圧迫感のなくなったそこに、指が差し入れられ確かめるように蠢く。不規則な動きに来島がひっと息を飲んだ。銀八は咽喉の奥に笑いを潜ませて
「すっげ、どろどろ。これ気に入った?だったら、やるからさぁ、俺の入れてない間ずっと入れてろよ。そしたらいつでもすぐに出来るし。簡単お手軽じゃね?」
指を抜くと、言葉通りろくな前戯もないまま擡げた雄を蜜に濡れた性器に宛がった。捲くれた制服、生白い臀部の下にある、あかく蕩けたそこは扇情的で、劣情を甘く誘う。
「ひぁっ…!?」
解れた膣は簡単に亀頭を銜えこむが、心が拒絶しているせいで膣内はぎゅうと閉じるよう。いっそう男を締め付け快感を引き寄せた。侵入するそれから逃げるように来島は無意識に身動ぎするが、それを許さないとばかりに腰を掴んだ銀八の手が引き寄せて、狭まる肉を割り開き奥深くまで蹂躪する。抽送とともに淫猥な水音が耳に届き、そのたびどうしようもない恥ずかしさと嫌悪感を堪えて歯噛みする。なのに、身体の中で卑俗なけだものが悦びに打ち震えて、貪婪に悶えるのが分かった。
「頑張って、声、抑えろよ。誰かに見られたいってなら別だけど。」
露呈すれば自分だって困るだろうに、銀八は至って楽しげだ。
「どう、…して…」
もう何度目かになる問いかけを魘されながら零すが、銀八はやはり応えない。来島の自我を押しつぶすように、快楽をすり込んでいく。
「あっ…ぅ…ぅう…っ、ぁ…ん、あ、あっ」
声を漏らさぬように悲痛に唇を噛むものの、容易に陥落してしまう。そうして抑えたギリギリのところで漏れる吐息のようなひそめた声も、悦楽から逃れようとする白く柔らかな肢体も、いっそう艶めいて、男を喜ばせた。
頭の中は靄がかっていくというのに、感覚だけは鋭敏に巡る。靄に映る黒い影から逃れるように指先は床を掻いた。思考が溶け出す。理性が悲壮に崩れゆく。上書きするのは苦痛から逃れるための歓び。いつかは醒めて、冷淡に突きつけられる、嘯くような熱。
打ち付けられたカリ首が膣襞を擦りながら最奥の子宮口を突き上げるたびに嬌声が零れ、腰はがくりとくず折れそうになった。もう何度も好き勝手に少女の身体を味わいつくした銀八はどこをどうすればこの籠の鳥が鳴くかを知っている。その執拗な快楽は来島の精神を揺さぶる。
「ひっ、やっ、だめぇ…!もぅっ、…ん、あぁ…やだ…っ」
「イきそう?一緒にイこうか?恋人同士みたいに。」
ささやきを聞きたくないとばかりに来島は力なく首を振る。悦楽も恐怖もとぐろを巻いて絡みつく。いっそ身をゆだねてしまえば楽になるのかもしれない。しかし、自らの意思で暗い穴に落ちるのはやはり耐え難かった。その抵抗を唯一の免罪符として、ギリギリのところで留まっている。耐えている。それでも圧倒的な暴力が来島の背中を押して、突き落とそうとする。
銀八の手のひらが柔く爪を立てながら括れた腰を掴んだ。途端、絶頂へ駆け上がるような強いストロークに来島は脅え、しかし享受した快感は嬌声となって唇から零れる。肉が触れ合う音。ぞわぞわと爪先まで巡る前兆。ぱちんと白く、弾ける。
「あ、あぁっ、だめっ、やだ、やだぁっ、んぅーーーーっ」
泣くように喘いでびくびくと痙攣する。極まり収縮する内壁がいっそう中のものを締め付け絡みついた。そのきつい蠕動におされて銀八は来島の中に吐射する。脈打ちながら精液を吐く雄に同調するように来島の身体が震えた。
余韻に浸るように膣内に留まっていた陰茎がようやく抜かれると、中に出された精液が栓を失い、膣口から溢れ出る。皮膚の上を伝う感覚に怖気がはしり、涙に濡れた来島の瞳はいっそう暗く沈んだ。暗澹たる性行為が終れば、次に襲ってくるのは男への憎しみではなく強烈な自己嫌悪だった。繰り返せば繰り返すほど辛い現実から逃れるように快楽にしなだれかかるのが易しくなる。浅ましく高まる卑属なものに後ろめたい怯懦を抱えて、絶望に塗れながら、力なく咽ぶ。そんな来島の頭を撫ぜる銀八の手は残酷なまでに優しい。



身支度を整えた銀八が、気だるい動作で窓を開けた。外は晴れやか。青が美しい冬の快晴。4限終了のチャイムは、銀八と来島の居る場所にだけ、やけに空虚に響いた。肌寒い風が部屋の中を旋回し、二人を撫ぜる。
窓の枠から手を離した銀八は、床に転がった来島の学生鞄を手に取ると、中身を漁る。ノート、手帳、携帯、小物入れ、それらの中から目当てのものを見つけて鼻で笑った。
「弁当2つ?そんなに喰うの?」
分かっていながらわざとらしく軽薄な笑みを浮かべて銀八が訊ねる。来島はなにも応えず、心も身体も何もかもを鬱屈と縮こまらせてこの悪夢が去るのを待っていた。非情な現実が醒めることなどないと知っていながら、神さまなんていないと知っていながら、祈り続ける。結局救われたことなど一度たりとてない。それでも目の前の男のただ一言で、少なくともこの場からは逃れることが出来る。
銀八はシンプルな布に包まれた弁当箱を二つ、机の上に置くと、残った鞄は興味が失せたとばかりにすげなく放る。落ちた音はたいした大きさでもないというのに、来島の心臓はいやに跳ねた。
「授業サボってやらしーおもちゃで遊んでる女の作った弁当なんて喰わねぇよ。あいつ潔癖だし。あ、俺は来島が作ったなら喰ってもいいけど。」
カーテンが柔く靡く窓から飛び降りてしまいたいと心の底から思う。それですら、蹂躪者の傍を通らなければ出来ないことだった。銀八は布を解いて、生身の弁当箱をひとつ持って来島の傍に寄る。触れると、過剰に震える肩。青緑の眼は頑なに銀八を映そうとしない。触れれば触れられるほど、奪われていった。もう、様々なものを奪われ続けている。しかし銀八はそれでは満足できない。
「腹減ったよなぁ。もう昼飯の時間だし。」
言いながら蓋を外すと、躊躇なくひっくり返した。裏返った箱から中身が落ちて、重力に吸い寄せられるのを来島は見た。悲しみさえ湧かなかった。微かに香る匂いはむしろ吐き気をもよおすばかり。
「ほら、喰えよ」
受け入れがたい言葉に絶句する来島の金糸を、柔く撫ぜていた手のひらが一転乱暴に鷲掴んだ。小さく上がる悲鳴。それさえ手の内になければ許せないという力で床に転がるかつては昼食だったものに顔を押し付ける。
「犬みたいに喘げんだから、犬みたいに喰えるだろ。来島は良い子だからさぁ。俺の言うこときけるよなぁ?」
もうやめてたすけてたすけてたすけて、咽喉の奥が詰まってそれさえいえない。それこそ怯懦に首輪を掛けられた犬のような呻き声しか出なかった。期待を膨らませてひとつひとつ丁寧に作った料理は、ぐちゃり、涙の伝う頬に擦り付けられる。
微かに届く笑い声。窓の外では同じ年頃の少年少女が、差異はあれど健全な学校生活を送っているというのに。同じ箱庭で来島だけが底の知れない暗闇の昼食にされている。