複数の男が私を見下ろして腕や脚を掴んでいる。そのいくつも並ぶ男の顔の隙間から見知った女友達の顔がひとつふたつあって、ごめんねぇまた子ちゃん、と間延びした声で謝罪のつもりもなくただ片手を顔の前に挙げていた。蜘蛛に捕食される虫を観察している時のような、これから待ち受ける残酷さとその過程に対する好奇心とでぐちゃぐちゃになった面がいくつも、いくつも並んでいて、そのうちから無作為に選んで唾を吐くと、また拳は飛んできて、とうとう私の意識をぐにゃりぐにゃりと歪ませて、可哀想また子ちゃんこれからどうなっちゃうのかな可哀想にまた子ちゃん可哀想、高揚した男と女の動物的な眼差しが降り注いで破かれた服の間から身体を弄られてついに私は嘔吐してさらに腹を殴打され、血の塊のようなものが口から流れ出てから女の顔が引きつりだして、死んじゃうんじゃないの、と呟いて少ししたら女の顔ふたつとも、いなくなってしまった。私は「死んじゃう」のだろうか、と考える余裕も与えさせないように口や下腹部の中の粘膜が擦り切れそうなほどに掻き回されて、ただ痛いのと気持ち悪いだけで、勝手に目からだらだらと涙がこぼれ落ちていって、男の興奮にまみれた下卑た笑いが上がって、誰ともつかない体液や汗がぱたぱたと肌や頬に当たって、また子ちゃん可哀想!と男の一人が嘲った瞬間あぁと思い出した、また子ちゃんかわいそうだからやめようよとお友だちが言ったのに私は聞く耳を持たず角砂糖で集まった蟻の群れを靴の裏で踏み躙った幼い私は、あの時笑っていて、お友だちはかわいそうだようとけれども潰された蟻を興味深そうに見つめていて、潰された小さな尊い生命一つ一つの無数の瞳が私の姿を映して呪ったのかもしれない。きっとそうだ。 だから私のいけない脚は折られて、私のいけない生命は絶とうとしているに違いない。きっとそうだった。おいしっかりしろよと一人が私の骨の亀裂を揉みしだき、激痛に私は悲鳴をあげて、また男たちが笑う、蟻達の顔で笑う、私が断罪される時間は際限なく続いた。