「・・・よっし!!できた!」

22時に自室へ上がり1時間半かけてやっと完成させた丸井先輩への誕生日メール。


「予約、送・・信・・・っと」

「はぁぁあぁ、つっかれたーー」


ずっと小さい画面を見つめていたせいで、目が物凄く疲れたから、俺はベッドへダイブした。その時視界の端に写り混んできた"モノ"それを見る為に顔を少し横に向ける。それは机の上にあって、綺麗に包装された小さい箱だ。













始業式の日の部活の後、先輩との帰り道。今月誕生日な丸井先輩にプレゼントは何がいいのか聞いてみたんだけど・・・・


「えっ!?誕生日プレゼント?」

「そっス。先輩何かないっスか?」

「んん〜…んや、そんなもん要らねーよぃ。」

「えっ・・・!!?なんで!!」

「あぁ…わりぃ、そんなもんって言い方が悪かったか。気持ちだけでいいって言いたかったんだ」


いやそこじゃなくて、要らないって。あの、あの丸井ブン太先輩が『気持ちだけでいい』って言うなんて。いつもの先輩なら"バイキングに連れてけー"やら"お菓子くれ沢山"とか言いそうなものなのに。どうしても信じられなくて不思議に思った俺は先輩に聞いてみる事にした。


「どうしたんスか?」

「えっ?何が?」

「だって、先輩なら"バイキングに連れてけー"ぐらい言いそうなのに」

「あ、赤也・・・てめー!!」

「い゙痛ッ!!!なんで殴るんですかぁー」

「赤也ッ!!俺を何だと思ってんだよぃ!!俺はそこまで非道な人間じゃ・・・ねぇ!!!」

「ま、またぁ・・・丸井先輩は俺の大切な彼女です!!それに先輩を非道な人間だと思った事はないっス!」

「ゔっ・・・だ、誰が彼女だぁ・・・////」

「でっでっ、どうなんスか?」

「〜〜////……ぉ前と・・・お前と居られればいいって思ったんだよぃ!!」

「Σ(゚Д゚!!!)」


な、なんだ!!先輩がデレた!!?ちょっとやけくそになってるけど・・・またそこが可愛い。いや、いつも可愛いけどさ。でもでも・・・ヤバい嬉しい。

俺は先輩からの一言がとっても嬉しかった。だけど突然の事で戸惑ってしまい、なんつー顔してんだぁと笑われてしまった。そこからは家に着くまで弄られまくってしまった。

その週の日曜日に姉貴に付き合ってもらって丸井先輩へのプレゼントを買いに行った。やっぱりさ要らないって言われても、大好きで大切な人には贈りたいじゃん。だから、先輩に似合いそうなリングがあったのでそれに決定。小さい箱に入れられ、綺麗に包装されたのだった。














(どーやって渡そう・・・)

ベッドの上でゴロゴロしながら考える。

朝練か午後練の後か?いやー登下校?違うよなぁー…土曜に遊び行くからそン時か・・・・・ンや!やっぱり当日がいいよな。うん。

目を閉じる。その時、俺と居られればいいと言った時の先輩を思い出して、先輩に会いに行こうと思った。

あっでも、丸井先輩起きてるかな?こんな夜中に行ったら迷惑だよなぁーと悩み、枕に顔を埋めてケータイを取り出し時間を確認してみると23時39分と表示されていた。


「時間もねぇー事だし、サプライズって事でいいよね?」


ベッドから飛び起き机の上の小さい箱と上着を持って部屋を出て全速力で先輩の家へ向かった。














   ―☆―

「母さん、風呂上がったぜー」

「はいはーい」

リビングから気の抜けた母の声を聞く。それに対してまたテレビ見ながらグダグタしてんだなと思った。
俺はキッチンへ行き、冷蔵庫を開け水を取り出しコップに注いだ。


「ねぇ、母さん」


キッチンの向こうから相変わらずな声で返事が返ってくる。


「なぁに?」

「今日ちょっと遅くまで起きてていいだろぃ?」

「んーそうねー。いいんじゃない」

「よっしゃー、じゃ食器片したあげる」

「ブンちゃんありがとー」

「早く風呂入れよー」

「はいはーい」


生返事と一緒に手をヒラヒラと挙げている母に小さな溜め息をついた。

(よっし、さっさと片付けるか)

コップに入った水をぐいっと飲んで食器を片付け始めた。


「じゃぁ母さん、俺上行く。お休み」

「ブンちゃんお休みぃー」

「風呂入れよぃ」

「ブンちゃんうるさい!ぶぅー」


どっちが子供なんだかわかったもんじゃねぇーな。なんて思いながら階段を登って自分の部屋へ。

部屋に入ってベッドに寝転ぶ。部屋の時計を見ると針は、今日という日が終わるまで5分とない事を示していた。


(もうすぐで15かぁ〜)

「赤也―・・・」


一緒に居れればいい。素直にそう思えた。中学最後の年に好きな奴と一緒に過ごせるだけで幸せな事なんだから――――


〜♪〜〜♪〜…


(んっ・・・?誰だぁ?)


ケータイが鳴り、液晶画面を見ると"赤也"と表示されていた、暫く見つめた後、電話に出た。


「もしもし?」

『あっ!丸井先輩!?もしかして寝てた?』

「べ、別に寝てねぇーけど・・・?」
『良かったぁ…』

「?・・・・でっ何か用なんだろぃ?何?」

『あっそうそう。ねぇ先輩、外見て』

「あ゙ぁ、なんで・・・」

『いいからぁ!!』

「あっ・・・・」


何がなんだか分からないまま、窓から外を見てみると―――

門の所に手を名一杯振っている赤也が立っていた。


   ―☆―

走って走って走って、急いで来た場所。


「はぁ…はぁ、んっう…はぁ。ま、間に合ったぁ〜」


時間を確認すると、23時58分でギリギリだった。
俺は先輩が起きているかどうか確認すべく、二階を見やると先輩の部屋の明かりが付いていた。


「起きてるっ!?」


早速先輩に電話してみる。でも中々出なくてもしかして寝てる?と諦めようとした時、"もしもし?"っと受話器の向こうから聴こえてきた愛しい声。


「あっ!丸井先輩!?もしかして寝てた?」

『べ、別に寝てねぇーけど・・・?』

「良かったぁ…」

『?・・・・でっ何か用なんだろぃ?何?』

「あっそうそう。ねぇ先輩、外見て」

『あ゙ぁ、なんで・・・』

(焦れったい・・・時間がない)
「いいからぁ!!」


そう言うと、カーテンに影がかかり開かれ窓が開けられる。窓から表れた先輩は驚いた顔をしていて、受話器からは驚いた先輩の声が聞こえる。

ケータイを閉じ、その手で先輩におもいっきし手を降る。もう片方の手はポケットの中のプレゼントをしっかり握っていた。

ケータイを閉じた時、時間がちょーど0:00になった。先輩がケータイを見たのを確認して、一呼吸置き先輩に聞こえるぐらいの大きな声で言った。


「丸井先輩っ!!誕生日おめでとうございますっ!!!」















   ―☆―

窓を開けるとケータイが鳴った。今度はメールだ。しかも赤也から・・・開くと下から大きな声で言われた、このメールと同じ言葉でその送り主に。


「丸井先輩っ!!誕生日おめでとうございますっ!!」

| 2011/ 4/20 0:00
From| 切原赤也
Sub|丸井ブン太先輩へ
―――――――――――

誕生日おめでとうございます!!





嬉しくて、めっちゃ笑顔で言った赤也が愛しくて笑みが零れてしまう。そんな赤也に俺はケータイを掲げ言うんだ。


「おぅ、ありがとな!」と。


そして傍に行きたい、近くへ行きたい。一緒にいたい――なんて柄にもなく思ってしまったわけで、気付いた時には既に行動していた。

「ちょっと待ってろぃ」


勝手に足が動いて、階段を駆け降り途中で母に赤也が来た事の報告と泊めてもいいか聞く。母から二つ返事をもらって赤也の所へ。


(早く・・・早く・・・・)


ガチャ

「赤也っ!!」

「へへっ、来ちゃいました」(ヘラッ)

「"来ちゃいました"じゃねぇーだろぃ。こんな夜中に・・・」

「・・・やっぱ迷惑でした?」

「い、いや別に迷惑なんて言ってねーだろぃ・・・///てか、どーすんの?」

「何が?」

「んな夜中に歩いてたら、補導されんだろ?」

「あぁ・・・どーしよ」

「赤也、俺ん家泊まってく?」

「えっ?まじ!!?いいんスか!!」(キラキラ)

「おうっ!」(なんかキラキラしてる)


家に入り階段上っている時。ふと気になった事を聞いてみる。


「なぁ、なんでメールくれんのにわざわざ来たわけ?」

「だって…



メールより直接
言いたくなったんス
















おまけ。

「あっ、先輩これ。プレゼント♪受け取ってね」

「まじ!!中身何?」

「開けてからのお楽しみっス」











―――――――

あとがき。

どうも。ひなたという者です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
いやーこの度はこんな素敵な企画に参加させてもらって光栄です。檻神篠様ありがとうございます。尊敬しております。


頑張って無い文才を振り絞って書きました。
なんか赤丸?でしたが二人が可愛かったらいいんです!!僕は!!
僕の書く二人が可愛いかどうかは分かりかねますが・・・(汗)
少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです。
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