雪見パパに花束を2


記事を無事書き終えた俺は、赤いカーネーションだけを引き抜いて、デスクの近くへと飾った。

俺の部屋には花なんぞ似合わないとつくづく思う。

それでも、悪い気はしない。
あいつが俺を思い、俺の為に買ってきてくれたのだから。

「…宵風」

俺の言い付けを守り、ベランダ近くに座る、宵風にそっと声を掛ける。ふわり風が動くように、その双眸が静かに俺を見上げた。

「ほら」

宵風の前に差し出したのは、残りの桃色したカーネーション。
花屋の店員みたいには上手く作り直せなかったが、なかなかの出来の花束だ。
不得要領な表情を浮かべて、宵風が俺を見つめてくる。

「赤いカーネーションは、俺が全て貰ってやった。こっちのピンクは…、そうだな、あの小悪魔小僧にでもくれてやれ」
「……なんで?」
「……まぁ、俺の気まぐれっていうか…。花言葉でも調べれば、俺の言わんとしてることが分かるかもな」

冗談めかすように。何かのヒントを与えるように言って、俺は自分のデスクへと戻る。一、二歩、進んだところで、俺はあることを思い出し、不意に足を止めた。

「あ、そうだ。もう一つ、お前に言っておきたいことがあるんだが」
「なに?」
「お前、さっき、5月の第2日曜日は、いつもお世話になっている人に、日頃の感謝を込めて、カーネーションを贈る日だって言っていたけど、それは間違いだぞ」
「え?」
「根本的には間違ってはいねェが、カーネーションを渡すのは、正確には母親だ。世間では“母の日”って言われてるぐらいだからな」
「……」
「大体、何時から俺が、お前の母親になったよ。間違えるなら、“父の日”だろうが」

勿論、こいつの父親になったつもりはないけど。

「壬晴にもお前から、ちゃんと言っとけよ、無関心にも程がある、ってな。…さぁて、雪見さんはもう少しだけ、お仕事に励みましょうかね」

そう言って、再び俺はパソコンの前へ。
パソコンの液晶画面には、先程調べたカーネーションの『花言葉』が映っていた。



【花ことば】
ーネーション…健康を祈る愛
ーネーション…貴方を熱愛す


for now END...
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尻切れトンボで、申し訳ありません
母の日に間違えて雪見さんにカーネーションをあげる宵風に萌えて、ほぼ突発的に書いちゃいました。
この話の雪見さんは、宵風が壬晴を想っていることを知っている設定です。
にしても、花言葉が出てくる話、書き過ぎだろうか?花が好きなんで、ついつい、書いちゃうのですが…。
ではでは、お粗末様でした。
90511



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