「 うっわぁ〜、陰気な所だね〜… 」

「 そーですねー 」



ゼロスの台詞が陰気すぎで思わず棒読みになったのを軽くスルーしてみると隣にいた赤毛が微妙なダメージを受けていた。陰気とか言ってたけれど、私としてはこういう大自然は全然バッチコイというか好きな部類には入るので、いいんだけどね。うん、物凄く良いと思うんだけれどね?妙な胞子とか飛んでてみてて好きだし、苔で滑った後とかあるんだけれどこれってやっぱりジャニスチームのどっちだろう?



「 ほら、俺さま輝き過ぎてるじゃない?逆に目立ちすぎて、居心地良くないんだよね〜 」

「 …じゃあゼロスくんはなぜ同行に志願したのですか? 」

「 っていうか、別にゼロスじゃなくても私としてはよかったよ? 」

「 冷たいなあ、浅葱ちゃんってばー 」



冷水でもかけてやろうか。そう思った瞬間に真っ白い綿毛みたいな胞子がふわりと飛んでいく。それを目線で追うと近くの木の根元に落ちていって緑の苔の中に溶け込んでいった。これがもし、この世界の自然だとしたら興味深い。ちょっと元気出てきたぞ…!



「 決まってんでしょ〜?プレセアちゃんが行くって言うんだもん 」

「 へえ… 」

「 それにエールちゃんともゆっくりお喋りしたかったし〜 」

「 …ちょっと、そこの赤毛。今すぐ切り捨てられたいのか? 」



いや、もうむしろ無意識に彼は私に殺ってくれと頼み込んでいるのかもしれない。むしろ私の娘に手を出そうだなんて良い度胸じゃねえですか。喜んで相手してあげますよ、この私が!この悪意しかないといわれたような気もしないこともない、この私が!



「 まあまあ、落ち着いて落ち着いて 」

「 …なんだよ 」

「 浅葱ちゃんに期待されてんだから、そりゃ来ちゃうでしょうよ 」

「 それで来ちゃったの? 」

「 俺様、浅葱ちゃん大好きだし? 」

「 女の子大好き、だろうが。嘘は良くないなあ? 」



そう言って頭を軽く叩くとゼロスが一瞬真面目な表情をしたから、私はすぐに目をそらすように先を歩き始める。



「 あと、あのジーニアスのクソガキがやっかむ所を見たかったし〜… 」

「 ………? 」

「 ………やっきゃむ? 」



最近のディセンダーは噛み噛みデーらしい。いや、可愛いけどね?可愛いんだけれどもなんというかそんなに噛んで舌痛くないのかなあなんて、思っちゃったりするんですけどお姉さんは。お姉ちゃんは心配ですよ。その舌がちゃんと機能してくれないと味とか、味とか、味とかの問題で事件が起きちゃうんだからね!



「 …立ち話をしている場合ではありませんでしたね。急ぎましょう 」

「 そうだね。ごめんね、プレセア 」

「 別に構いません 」

「 そう? 」

「 浅葱さんの話は面白いですから 」



このパーティの面白担当になりました。
って、ちょっとまて今日は特に面白い事は何一つ言ってないのに既に面白いだと!?プレセアってツボが浅いんだろうか…そういえば、馬マスク被った状態で全力疾走していたのを見られたときも笑っていたような…



「 ところで、浅葱さん。この苔のあとって 」

「 ああ、やっぱり気になる?こけたんだとは思うけれど、どっちだろうねえ 」

「 どっち、ですか? 」

「 助手がいるんだよ、ジャニスの 」



私個人の愛称として言うならば『ちっこいの』
悪意とかは何もないけれど強いていうなれば見た目から。あんな黄金比率で並ばれてしまったらそういうしかないだろう。不覚にもそう言わせてもらったんだけどね。それしか浮かばなかったとか今更な事は、心の奥にしまっておこうね



「 間が抜けてると言ってしまえばいいのか微妙だよね 」

「 ええ、そうですね 」

「 ジャニスってやっぱり、根はいい子なんじゃないかなあ 」

「 …それはどういうことですか? 」

「 うん…なんか、ここまでやってるとさ 」



なんだか憎めないんだよなあ、と呟くとプレセアが首をかしげてゼロスが甘いねえ、と呟いた。甘いのはやっぱり否定は出来ないし、優しいを振りかざしてラルヴァの正体を教えてあげるのは私の役目じゃないから、やっぱり甘くて良いんだって思うんだ。



「 でも、ジャニスのやろうとしてることは悪い事だよ 」

「 エール、私の前に言った事覚えてる? 」

「 えっと、『事後確認をしないお馬鹿さん』? 」

「 …うん、 」



物凄く不健全に聞こえる。
やばい、耳がおかしいのかもしれない



「 あとね、『ロスタイム、リーズナブル、コンプレックス』 」

「 掘り返された! 」

「 え?なになに、それなんのこと? 」

「 ロリコンの本当の言葉なんだよ! 」

「 …エールちゃん、 」

「 エール、そうじゃなくてね 」



お姉ちゃんは確かにそれは言ったけれど。その前の事も言ったけれど、正しい言葉が欲しかったです。まあ、確かに長文だったからなんとも覚えにくかったから印象に残った部分だけ覚えたんだね。わかったよ、努力はわかった。けれど、お姉ちゃんが言いたいのは、



( 発明自体は凄い事だし、それに悪は関係しない。共通点がないもの )
( でも、ジャニスが作ったって事が共通点だよ? )
( まあ、確かに直線関連はないよなあ )
( だとしたら、どうして世界樹の根を切ろうとしているんでしょう? )
( うん?だから、お馬鹿さんってこと )

11/0203.




- ナノ -