服を散りも残さず消されてしまった私は、ホールでうな垂れていた。黒ずんだ、よりかは一撃で灰にされてしまったと言うべきか、幸も不幸もなく私の秘密をバラされ。挙句には服を消滅させられた。という現実に負けた私がいる。いや、今も負けてますけれど、勝てる気がしませんとも!



「 浅葱、元気出せって 」

「 買い物なら付き合うよ 」

「 ユーリ、ガイ…。その優しさが傷口に塩を塗りこむような行為だという事に気付いてないんだね… 」



素直に痛いといえない女がいた。というか、紛れもなく私だった。
まだジェイドとの名残があるらしく、妙に口調がボケっぽい。



「 あの、大丈夫ですか? 」

「 うん…まあ、あと少ししたら気合を入れなおしますか、ら 」



こげ茶色の髪が透明な紫色の丸の髪飾りの重みで揺れた。
色白の透き通るような肌、日本人色の茶色の目が私を映している。そう、美少女が私を映し、え?ニューフェイスですか?そうですよね、この美少女ぐあいは確実にヒロイン枠のお嬢様ですよね!お願いだからその綺麗な瞳で汚れきった私を映さないでくださいお願いします



「 は、初めましてかな? 」

「 あ、はい 」

「 私は、浅葱と言う。君は 」

「 リアラです。 」



そっか。とこぼす様に呟くとリアラは私の前にたったままぼんやりと私を見て首をかしげた。何か歯とか顔についていただろうか。最近は食事の後に歯を磨く習慣をつけたんだけれども、そういえば、朝ごはんとか食べてないような気が…パニールが怒るかなあ



「 浅葱って、エールさんが言っていた、あの浅葱さんですか? 」

「 うん?じゃあ、きっとそうかもしれないけれど、何かあったのか? 」

「 えっと、わたし達の探し人を探してくれるということでエールさんがわたしの仲間のカイルとお世話になっているナナリーと一緒にレーズン火山に行ったんです 」

「 それで? 」



一体どうしたんだろう?まさか、エールが泣いていたわけじゃないだろうな。泣いていたとしたら私はどの面を下げて飛びおりればいい…!



「 行く前に浅葱さんをずっと探していたみたいなんですけれど、『浅葱お姉ちゃんは、お部屋にもいなかったから、我慢するもん』って 」

「 いない?そう言ったの? 」

「 はい。そう言っていたんだけど… 」



ルビアは『エールは浅葱になんて言ったら良いのかわからなくて、起こせなかったんだわ』と言っていた。けれど、エールはリアラに『部屋にもいなかったから』と言った。なんでだろう?私はもう朝方の4時にはしっかり眠りについていたはずなのに。身体の侵蝕は髪と腕だけで顔が消えるのはまだのはずだ。エールもルビアも不器用だから嘘をつけないし、吐いた所でわかる。リアラも今はじめてあった私に嘘はつかないだろう。嘘をつく理由はないしな



「 浅葱ちゃんベットから落ちてたとか? 」

「 さっき、ルビアの馬鹿力でシーツごとひっぺがえされたばかりだ 」

「 お前さァ、実はバカだろ 」

「 スパーダったらひっどぉい。しょうがないじゃない!夜更かししちゃったんだもん☆ 」

「「「「 ………… 」」」」

「 一人ぐらい突っ込めよ!今心底気分が悪いのは私だ馬鹿やろう! 」



精神ゲージが一気に減って逝った気がする。



「 そういえば、リアラって何のためにその探し人を見つけようとしてるんだ? 」

「 え、えと… 」

「 今なら何を言われても受け入れられるから言ってごらん? 」

「 本当、に? 」

「 言ってみてコイツ信じてないな、とか思ったら思いっきりそこの赤毛に向かってウィンドスラッシュはなってくれて構わないから 」



後ろから俺様?!とか言う声が聞こえたけれど気にしないことにしよう。多少の犠牲は問わない主義だ。もちろん女の子が傷つくとなると自己犠牲も視野に入れます。エールが犠牲になるくらいなら私が傷ついてもかまわん



「 わたしとカイルは、異世界からきたんです 」

「 異世界、 」

「 本当はわたし達の過去に行く予定だったんですけど、移動に使うエネルギーがきれちゃったみたいで…帰る方法を探すために、ハロルド博士に知恵を借りたくて 」



たった一人、此処に残ったリアラの頭に手をのせていいこいいこ、と撫でてみると髪が柔らかくてついつい微笑んでしまう。薄紫の髪飾りがゆらゆらとゆれて、恥ずかしげに視線を落としたリアラ。正直に言おう。もって照れてくれても構わない!可愛いは、正義だ!じゃなくて、



「 …心細かったでしょう? 」

「 そんなことはないです。ナナリーさんがすぐに保護してくれましたし 」

「 そうじゃなくて、 」

「 え? 」

「 船に一人ぼっちにされて、心細かったでしょう? 」




( 彼女は薄っすらと涙を浮かべて、戸惑うように私に手を伸ばす )
( 気持ちはわかる。でも、彼女は二人だったから泣けもしなかったかもしれない )
( だから、受け止めてあげる )

11/0125.




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