例による、いや例によってデカパンたちとお見合いをして思わずペンを投げてしまった私はそのペンによっていつも以上に凶暴になったデカパンと掠り試合をし、鞘VS棍棒の戦いを終わらせた頃にはエールが笑顔で山菜サラダと箸を準備していてくれた。セロリが一番良い音するくせに、一番匂いがきつい。なによりドレッシングなしのサラダは
恐ろしく健康的です「 ここがジャニスのアジトだな…。奴は、いないのか!? 」しゃりしゃりしゃりしゃり。
ヨモギが少し苦い。セロリ匂いきつい。マタタビ、アケビが
神。歯ごたえはずっとセロリというかセロリの量が多くてなんか音がずっとしゃりしゃり言ってるんだけど!これって何て苛め?まだロリコンの流れとか続いてないよね!?
「 やばいぞ。あいつらナディじゃねぇのか? 」
「 え? 」
飲み込んで呟くように吐き出した疑問符に、チェスターの視線を辿ると緑色の服の宗教団体がいた。話の流れから行けばナディらしい。うん?ナディ?凄い聞き覚えがあるというか、テロ集団ナディとかいう戦隊ものだったっけ?
「 仕方ない。ラルヴァについての資料を集めろ。焼き払うんだ 」「 まずい!資料を奪われたらおしまいだ 」
「 いや、ちょ、ま、 」
未だに箸もったままなんですけど。なんていえずに主人公より主人公らしく踏み込んでいったクレスは妙にたくましいというか主人公だった。我等がディセンダーと言えば私の隣で山菜サラダを見て「おいしい?」と聞いてくるもので頷くとえへへ、と空気を壊すように笑って、幸せそうに花を飛ばしているように映るエール
「 おまえ達、ナディだな 」
「 ほう、我々を知っているとは!!貴様ら、ジャニスの手下か? 」
「 違う、僕達はギルドのものだ 」
戦闘順に言えば、クレス、チェスター、エールと私。後ろだけ並行に並んでいるし、なによりも料理食べているやつが前に出るだなんておこがましいというか話としてまとまらないだろう
「 ギルドの者など用は無い 」
険しい表情をしたナディAだかBだかCだかわからない声が静寂にあわせたように低く言う。エールがその声に、肩を一瞬揺らし、チェスターとクレスの顔つきも少し強張った。痺れを切らしたようにナディの一人がちっ、と音を鳴らす。
「 ここは焼き払う。さっさと去れ! 」
「 そうはいくか。おまえ達が集めてる資料に用があるからな 」
「 …まさか、おまえらはラルヴァを手に入れる為に来たんじゃないだろうな 」
あまり音を鳴らさないように食べていたのだけれど、シャリ、と音がして一瞬でも『食べます』と言おうとした私は、また音を立てる。
「 ラルヴァをこれ以上作らせてたまるか。あれは、あってはならないものだ 」
「 既に軍事に利用しようと動いている国もある 」
最後の言葉にエールが悲しげに視線を落とした。多分デモンストレーションのことを思い出したんだろうけれど、不思議と私はもう怖くはなくて。あの赤い目の優しい声がまた聞こえた気がして、あの皮肉屋さんめ。と思う
「 このラルヴァを強く浴びて、体調の異変を訴える者だっているんだ 」
だったら尚更、原因を突き止めないといけない
「 ラルヴァなんか興味ねえが、おまえ達のやり方も気に食わねえ 」
「 悪いと思うが、邪魔をするなら容赦しないよ 」
「 その資料を手に入れるのが俺達の仕事だからな 」
やらなきゃ、いけない。
そう思えば思うほど、かみ締めたセロリの味が口いっぱいに広がる。ご馳走様でした、と呟きながら器と箸を隅っこに置いて、私は腰にある刀の柄を握った
大丈夫、もう怖くない( 地面を蹴る爪に、 )
( 私は焦らずに刀を抜く )
( 焦って怪我なんてしたら、あの皮肉なお人よしに何を言われるかわからないから )
11/0118.
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