ペリー鉱山は少し砂っぽいところだ。鉱山だからというか、むき出しのゴツゴツした土の壁とか、岩と土の差でアメールの洞窟とあんまり変わらないような空気の問題というか、環境の所為なのか敵が固いような気がした。
デモンストレーションの検視の護衛という事で私とエールが借り出されたのだけれど、見たことのないモンスターが多くてスペクタクルズを片手に戦いに行きそうなエールを見ながら私は柄を強く握り、土を蹴る



「 エール、何もかも一緒くたにやらないの! 」

「 …え、ええ!? 」

「 スペクタクルズを使ってから戦闘に参加しなさい 」



大剣とスペクタクルズを見比べるようにキョロキョロして、あわあわとわたわたとして今度は私と敵を見比べるように視線を泳がした。



「 …ど、どうしよう! 」

「 魔神剣ッ!!エール、データはリフィルに頼んで!前に出るよ! 」

「 は、はい! 」



エールの返事を聞いたあと、振り返りざまにアックスビークの斧のクチバシが視界いっぱいに映る。刀で防御をとり、片足重心でアックスビークの頭の左をなぎ払うように蹴っ飛ばすと、黄色い羽が宙を舞う



「 危な… 」

「 お姉ちゃん大丈夫!? 」

「 浅葱!怪我はない!? 」

「 っていうか、今の強引すぎだよ!バックステップで距離とった方が安全だった! 」

「 ジーニアス。時に強引って言うのが人は大事らしいぞ? 」



誤魔化すようにジーニアスの頭を撫でると「子ども扱いしないでよね!」と子供らしいお怒りを受けたので私にとっては子供だぞ。と笑顔で言っておいた。



「 ところで、リフィル。その発表会を見るところはどこなんだ? 」

「 奥に、外へ開けた場所があるの。そこからなら実験がよく見られるはずよ 」



画面向こうからのイメージを思い返せばたしかに開けている気がする。青空も見えてある意味いい位置だったとは思うけれど、道順はどうだったっけ?リフィルが覚えているならいいが、流石に私の記憶力はさほど当てにならない気がする



「 どんなデモンストレーションが行われるの? 」



さらりと発表会といったのにジーニアスは気にしないようにデモンストレーションと言った。なんだか悔しいような気もするけれどそんな悪戯を何度も繰り返すほど、バットやアックスビークは時間をくれないらしい



「 ラルヴァを使った、爆破実験らしいわ 」



重々しい声が後ろで響き、私はまた柄を握って前へ飛び出す。
この話を避けたかった理由は、この爆破実験っていうものをあまり興味心でみられる気持ちはなかったからというのもある。でも本当に此処でこうやってて良いのかが不安なのもあって、複雑です



「 現場では色んな企業や、各国の学者が見学しに来てるみたい。ラルヴァも徐々に認知されてきたってわけね 」

「 どうして、ボク達は現場で見られないの? 」

「 それは…、 」



言いにくそうにリフィルの言葉が、切れた



「 …招待されてないからよ。さ、私達の特等席へ急ぎましょう 」

「 要するに、ボク達は覗き見なんだね… 」



いつもより声を落として言ったジーニアスの横を通り過ぎたリフィルの表情も浮かばれない。ジーニアスはそれを見ながらも剣玉を握りなおして前を向いた。私といえばバットを叩き伏せて、満足げに戦闘終了したんだけど誰も見てくれてなくて少し寂しいわけじゃないよ。寂しくなんてないよ!



「 覗き見ってワクワクしないか? 」

「 げ、浅葱もゼロスと同じような事いってる… 」

「 アイツと同じ方面にするなよ。私が言ってるのは人の書いてる日記とかの話だ 」

「 …方面が違うだけで最低な事だよ、 」

「 でも、気になる事だってあるだろ?好きな子の日記、とか 」

「 う、 」

「 はーん…そうかそうか 」



少し耳を赤くして俯いたジーニアスの頭を撫でると今度は抵抗はないものの恥ずかしそうにそっぽを向いてしまった。これが抵抗だとしたら本当に些細で可愛い抵抗だ。もう一度この子から『子ども扱いしないでよね!』って聞きたかったのに。この反応はこれで可愛いからいいとしよう



( 口元を緩ませると )
( エールが複雑そうで寂しそうに私を見ていた )
( そっと手を握ってあげると、照れくさそうに君は笑う )

11/0111.