「 なにをしているんだ? 」

「 ニアタ・モナドにいくための準備。むしろハロッチュの説明のなさに、涙がでそうなマニュアルを読み込んでるところ 」

「 じゃあ、そこのカノンノはなんで泣いちまってるのかな? 」

「 すいません、私が泣かせました 」



だって、嘘がつけなかったんだもん!と声に出そうとして口パクでガイに伝えると呆れたようにため息をつかれてしまった。『イケメン紳士を呆れさせた女』というレッテルというか称号を今度からつける事が出来るのかもしれない。いや、いらないけどね。そんな不名誉な称号いらないけれどもね!どうせなら、100人美女に囲まれた女とか、楽しそうな称号がほしいです



「 あとで、エールに怒られるぞ 」

「 ………やっだなあ、カノンノ。冗談だよ!気分的にエイプリルフールなかんじだったんだから。もうなかないの!ほらほら、こんなに元気なお姉ちゃんがいなくなるとおもう?!可愛い妹達置いて消息不明なんて笑えないでしょうよ! 」

「 ほん、と? 」

「 ほんとほんと!ごめんねー!最近ユーリとかあのメンバーに嘘つけなくてむしゃくしゃしてて、カノンノにうそつくつもりはなかったんだけどさあ 」



何で、私今こんなに必死なんだろうとか思ったら終わりだろう。このテンションを維持し続けるためには今チャットから説明を受けているであろうエールの可愛い姿とか、考えても私が発狂するだけだ。落ち着こう。落ち着いて物事をよく考えてみよう。まず、事の八反は誰だったっけ?



「 じゃあ、いなくならない? 」

「 家出はするかもしれないけれどいなくならないよ?ずーっといっしょ!もうカノンノの結婚式を見るまで死ねないし、エールの結婚だってちゃんと見届けなきゃいけないから、いなくなるなんて出来る訳ないでしょう?!素敵イベントを見逃すほど私は馬鹿じゃないんだから 」

「 …なんか、すごい必死だね 」



そういえば、原因は私だからね。もう必死だよ。ある事ない事全部いってる気がするもの。いいんだろうかと聞かれればまあなんとかなるだろうとか思い始めてしまっているために私は、もう根掘り葉掘りあること無いこと吐き出している。掘り出されているんじゃない。もう逆流だ



「 可愛い妹の泣き顔をみたいなんておもうお姉ちゃんはどこにもいないさ 」



思わず吐き出してしまったその言葉にガイを見ると、ポカンとしていて。なんだか外したような気がする。まずいぞ。何が悪かったんだ。今のはおねえちゃんとしての台詞に会わなかったんだろうか。いやいやいやいや、でも私らしいといえば、私らしい言葉だったと思うんだけども



「 冗談、だったんだね 」

「 うん 」

「 よかった 」



安心した声にカノンノのほうをみると嬉しそうに笑っていた。



「 エールが来る前でよかったな 」

「 本当にね。エールに怒られるのも私は苦手だからなあ 」

「 浅葱ったらエールに弱いものね 」



今、大事な事を聞いたような気がする。彼女は私になんていったんだろうなんて考える間もなく口元が緩む。久しぶりに呼ばれたその名をこんなにも



「 カノンノ、もう一度呼んでくれる? 」

「 うん?浅葱どうかしたの? 」

「 最近皆して私の名前を呼んでくれないから、ちょっとだけ寂しかったんだ 」



嬉しいと感じる事が出来て幸せだなんて今まで思ったことがなかった。寂しかったし、皆忘れてしまったんだとやさぐれて、拗ねそうになっていたから嬉しい。あの子が綺麗だと言ってくれたその名前を、皆が私を必要として呼んでくれたその名前を



「 浅葱おねえちゃーん 」



耳にする事は



「 はーい 」




( ニアタ・モナドいこう!はやくいこう! )
( エールってば、嬉しそうだね )
( ニアタ・モナドから帰ってきたら、パニールが美味しいおやつくれるって! )
( …甘味好きだなあ、 )
( それでおねえちゃんとカノンノと一緒にたべるんだ! )
( すいません、ガイは?! )
( ふーん! )

11/0506.




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