汗が出ては拭い、にじんではぬぐい。を何度も繰り返してはいるのだけれどもなんだか服の重量も増してきた気がする。それに肌も少しジリジリして痛みが麻痺してきたんですけれども、これってなんですか、あのマグマとか言う奴にあてられてるんでしょうか。いやいや、流石にそんな能力がマグマにあったら、原子力発電とかじゃなくてマグマ発電とか生まれちゃうんだろう。発電の前に物資溶けそうだけどね!融解しちゃうね!



「 …出掛けに言われたんだが、ここは、いつ噴火してもおかしくないらしいな 」



呟くようなクロエの声に立ち止まると、ミントが小さな機械を持ちながら歩いていた。白い機体のようなもの。手持ちのソーイングセットに似ている。ここで針とか持ったら一瞬にして指が焼けてしまうかもしれない。空気の熱はどこまで影響するのかを検証してみたいけれど流石に、本当に負傷するかもしれないとなると度胸はありません



「 マナ減少で世界は不安定です。この火山も影響を受けているのでしょう 」



不安そうにミントが見つめる先で、ピー、ピー、ピー、と間を裂くような音が響く。ソーイングセットを開いてみているようなミントにクロエが不思議そうに視線を流すとクロエは不審なものを見るようにミントの手元にある物体を凝視していた



「 なんだ、その音は? 」

「 これは、負を測定するカウンターです。ハロルドさんがお貸ししてくれました 」



天才科学者からの借り物。負を測定するカウンター。
多分、本人がここにいけない事を見越してのデータ採取用の機械なんだろう。それか本当にこの先に何かがあることを、わかっていた…わけはないよね。流石に彼女も人間だし、うん。人間には不可能はないっていうけれど流石にファックスできない所を考えると、そんな人を超えた可能性なんて不可能だから、流石に無いと思いたい



「 どうやら、この場所にも負が溢れているようですね… 」



だから、今、この先にいる一人の事を考えているのは



「 ひょっとして、手強い魔物がいるのかもしれません 」



私だけでいい。たった一人、一人だけでも彼のことを思えればそれはきっと幸せなんだろう。他の誰かが今彼のことを思うとしてもきっと彼を苦しめる負になってしまうから。人の吐き出した負を溜め込みすぎて苦しい思いをしている一人の、男の子



「 早く負を世界樹へ流して、安定した世界へ戻さなければな… 」



ただ流すだけで救われるのならば、
それはきっと男の子を苦しめるだけなんじゃないのかなあ、なんて



「 悪いのは、ゲーデだけなのかな 」



彼を憎めない女の子はこんなにも悲しげに悩んでいるのに。悪いのはゲーデだけじゃない。でもゲーデはあまりに負を食べ過ぎてしまった。力をつけてしまった彼は、生まれてから消される事しか知らないから人を傷つける事しか、しらないんじゃないんだろうか。もし、そうだとしたら



「 『安定した世界』はきっと大変だろうねえ 」

「 大変って、今よりはきっとマシになるだろう 」

「 いや、負の影響で改善される問題が増える、って事だよ 」



そう、例えばの話。『きっと』、『もし』の話の中だけれど



( それは幸せな世界 )
( 未だに笑ってくれない彼が笑える世界が来るときは )
( きっと、大変になるんだろうなあ )

11/0413.




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