こんなに焦ったのは、こんなに息苦しいって思ったのは。知り合いが大怪我したって救急車で運ばれたって知らせを受けた時以上のもので。家族じゃない癖にってどこかで自分をあざ笑ったりする声だって頭のどこかにはあるけれど、あのこは私を『おねえちゃん』って呼んでくれる大切な、大事な妹だから。
「 エール! 」
「おねえ、ちゃ」と見開いた大きな瞳。私はエールを突き飛ばして。ゆったりとしたスローモーションに見える全てにゆっくりと微笑む。相手の技の名前なんてどうでもいい。とりあいずあの子が怪我もなく生きていられればそれでいいなんて自己満足。なんて馬鹿馬鹿しいって笑えば、
「 浅葱、おねえちゃ、ん…? 」
「 怪我は、ない? 」
「 浅葱、お姉ちゃん!?血…血、出て、 」
エールの頬にベッタリとついた私の血をふき取って。瞬間の痛みさえも感覚麻痺しているらしい私はジリジリとした燃えるような痛みと冷や汗みたいに落ちて言ってる血液、それと目の前のこの男と闘えばいいわけか
「 浅葱、今回復を…! 」
「 別に、いい 」
鞘つきの刀を金髪に向ける。ただの無表情でニコリとも笑わない私に冷たい視線を向けた金髪。だけどジェイドほど綺麗な殺気じゃない。
「 ちょ、ちょっと待て! 」
「 …何だ 」
「 お前の目的は俺なんだろ?じゃあ、連れて行けよ 」
「 は? 」
「 ただし、他の仲間達手出しすんじゃねぇぞ 」
上半身を起こしてとめに入った赤い短髪に息を吐く私。何甘ったれた事言ってるの?と一度くらいいってやってもいい気がするけれどもそもそも私の脚は動かない。多分限界量を超えて流れてるんだとは思う。気持ち悪い
「 ルーク、馬鹿言うな! 」
「 頼む…。それに、アンタも手当てさせてやったらどうだ 」
「 …浅葱、動かないで 」
「 カノンノ、平気だ。そんなに深く斬られてない 」
結局は皆良い奴だから怒れない。最後の最後まで話を聞いてしまう私は、怒れないで泣きそうなカノンノやエールになんて言い訳すれば良い。あの金髪碧眼の男にだって一発もかませないまま。ただ護りきった安心感でなんで、笑おうとしてるんだろう、私は。
くらっと倒れこみそうな私の脚に力を入れて、少し視界が白くなり始めたのを耐えるように瞬きをする。極度に血液がなくなると貧血の現象がでるらしい。人間って凄い構造してると思う。
「 よかった。そちらでも見つかったんですね。こちらも見つかりました 」
私を見てから眉間に皺を寄せたジェイドに私は目を逸らす。理由を聞かれるとなんだか悲しいというか怒れない私がいるので静かに口を閉ざしていますが、エールはジェイドを見る前から大きな目からぼろぼろと涙を零していてジェイドの隣にいる亜麻色の髪のお姉さん困惑
「 ガイ、ルーク。我々を保護してくれるギルドの方に失礼な事はしませんでしたか? 」
「 え?じゃあ、こいつ…。追っ手じゃなかったってのか? 」
「 ……帰って寝る 」
「 浅葱、 」
多分今の私は何とか『不満』という表情を上手く出せていると思う。だって不満だから。保護するって言って説得力がないからって此処まで着て背中バッサリやられて。お嫁にいけないとかもうどうでもいいけれど
「 ルークならともかく、ガイが早とちりするなんて珍しいわね 」
「 俺ならともかくってどーいう事だよ! 」
そういう人間に見られてるんだよ、って静かに言うわけにはいかず。ゆったりと呼吸をする。死に逝く人の呼吸はのんびりしていたなって思うたびに何処かのしらないおば様方がおいでおいでしてるきがするけれどもお姉さんはまだいけません無理です。誰ですか、あなた
「 浅葱、どうしましたか? 」
「 浅葱? 」
「 浅葱お姉ちゃん? 」
気持ち悪い。体中の力がなくなるみたいで、まるで一人だけ浮遊空間にいるようなそんな感覚にどうして寂しいよりも、気分の悪さが先に信号をならすんだろうか。もう視界は真っ白でどうしようもないのに
流れ落ちる赤に感覚さえ( 声も聞こえない )
( 身体の機能の感覚もわからない )
( ここはどこ? )
10/0820.
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