グラニデと地球を行き来できたら。考えただけでも鳥肌が立つような夢物語だけれど出来たらいいなって思うのは多分最近ホームシックだからだとしても、私の体とかを考えればグラニデに帰ってこれても私の体が、実体がなくなってしまっていたらそれど頃ではないとは思う。そうしたら行き来が出来ても私はこの世界に来なくなる。そうしたら、私の妹との約束を、破ってしまう



「 ルチルブライトの設置、ご苦労様です。マンダージの地下都市は、私も興味深く拝見しました 」



でも、もし私という記憶がこの子の中から消えていっているとしたら約束は無効になる。初めからなかったことになるのだから、問題はない。それに、



「 このグラニデには太古から異世界の客がよく訪問していたようですね。リフィルがいると解析が早くて助かります 」



異世界とのつながりを持つこの世界に私が来てしまったのも何かの運だろう。ここに経っているのも。此処で働いて皆と関わって、笑って、悲しんで、怒って、心配してされて、感情一つ一つをこんなにも楽しく思えるのもきっと此処にいる皆のおかげだ。感謝の気持ちを込めて心の中だけでありがとうって言っておこう。面と向かって言うと照れるし



「 私達の文明と接点が多く、グラニデに強く影響を与えた文明だったのでしょうね 」

「 後は、あなたが論文を発表すれば、マンダージも陽の目を見るでしょう 」

「 そうね、まとめておくわ 」



陽の目を見る前に、私はあの場所で少し調べなくちゃならない用が出来てしまった訳だけども。皆の前でそんな事をしてしまえば心配されるだろうし、誰かを連れて行かないとまた硬い甲板の床の上で正座をさせられてお説教をされてしまうような気がする。



「 さて、次に取り掛かるのは… 」

「 人の真似事をする花の種、三色に光る苔にて苗をあしらう。その苗は風唄う地に置く事 」



リフィルの声がホールに響き、エールがぱちぱちと瞬きをして首をかしげた。確かに急に三色の苔とか言われてもわかりにくいよね。私も始めてそれを聞いたときに三色パンを思い出したよ。クリームと餡とチョコクリームのやつ



「 まず、『トライライト・モス』を手に入れなければなりませんね 」

「 それが三色に光る苔ね 」



三色の苔はそれはそれとして、誰を連れて行けばいいんだろう。クラトス、はなあ。やっぱりこっそり一人で行くのが無難かなあ。でもほかにマンダージに仕事に来る人はいるんだろうし、それに見つかったらやっぱりパパ組に告げ口されてしまうような気がしてならない。…おかしいな、なんだかスリリングな事をしようとしている気がしてきた



「 どこに生息しているのか、専門書で調べてみます。すぐにわかるはずですから 」

「 ただ、人の真似事をする花はどういうものかまだわからないの。それは、調べておくわ 」

「 ええ、頼みます 」



そうすると、やっぱり遺跡マニア…は忙しいよね。流石にリフィル先生はこの船の子供に勉強を教える役目もあるし私の我侭に付き合わせるわけにもいかない。それに、リフィルがあの遺跡の論文を書き終える前に私はあの場所の理解を深めなくちゃならない。流石に考古学を学んでいる先生に敵う気がしないんですが…



「 で、浅葱。何を考え込んでいるんですか?無駄な事です。さっさと吐きなさい 」

「 ジェイド。いい事を教えてあげよう 」

「 何でしょう 」

「 そうやって子供がやさぐれていくんだよ 」

「 そうでしたか。なら、矯正が必要ですね 」



なんだか身の危険を感じる!
敵兵に見つかった時の音が心のどこかで響いてるよ!?



「 それで、何を考えていたんですか 」

「 黙秘権を行使します! 」

「 安心してください。貴女に人権なんて初めからありませんから 」

「 ある!あるから! 」



国籍はなくとも人権は下さい!まあ、始めから言うつもりはないから大丈夫。いざとなったら嘘吐いてお風呂に入りながら計画を立てるしかないこともどこかでわかってたよ。この鬼大佐がいる限り私の心の平穏が来ない事くらい、わかってたさ!



「 どうせろくでもないことでしょう? 」

「 聞かずして、悟る鬼こそ、ここにあり 」

「 必要のないところで頭を使わないで下さい 」

「 人間いつだって頭は使ってるよ! 」

「 また、屁理屈ですか… 」

「 得意分野だからね! 」



さてさて、



( もし、帰れなくても )
( 誰も気にする事のないように )
( この考えだけは、クラトスと私の秘密 )

11/0322.




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