「 浅葱、少しいいか 」

「 あれ?ユーリ?なんだ、珍し…え?なにその、若人メンバー。元気がいいねえ何かいいことでもあった?って思わず口に出したくなるくらいの勢いなんだけど、本当に何かあった? 」



21歳+スパーダ。私含めて、5人というメンバーになんと言えばいいのかわからずに展望室の椅子に座らせてコーヒーと紅茶を入れては見たけれど何ともいえない雰囲気に首をかしげた。微妙に緊迫した雰囲気というか、あまりふざけてはいけなかったんじゃないのかと思うほどに、圧迫した空気。清浄機があるならばもちろんのことつけてやりたい



「 それで、何かあったのかな? 」

「 『何かあった?』じゃないだろ、浅葱ちゃん 」

「 いや、身に覚えがなさすぎて正直眠くなってきた 」

「 その肌、どうしたんだい? 」

「 肌?…スキンケア? 」



そういえば昨日蚊が飛んでてよく眠れなかった。煩いわ眠いわで、夜中にふらふらしそうな勢いで戦闘していたせいで正直瞼が落ちてきそうだ。



「 その首のやつだよ、馬鹿 」

「 ば、馬鹿ってスパーダに言われたくないけど、そういえば赤くなってる気もする 」



そして痒い。刺されたのかなあ。くっそう、一発情事を終了して人を喰らいにくる憎きメス蚊め!言い方にもほどがあるな、私。一発っておっさんか。いやおっさんかもしれない。こんなにイケメンに囲まれて平気な顔して笑っているあたり、イケメン耐性がついてしまったのか?女としてそれでいいんだろうか。いや、カッコいいものはカッコいいけどさ



「 …夜中、何があったのか教えてくんない? 」

「 蚊が、飛んでて真剣勝負した記憶くらいしかないんだけど 」

「 蚊、って、 」

「 なにさ、ユーリ。まさか私が誰かに襲われるとでも?はあ、あれか歳だからそういう想像しちゃったわけだ。あーあ、かわいそうに 」



何が可哀想なのかって考えた時に正直に言えば襲われる相手が私だったという想像についてだ。ティアとかミントとかだったらロマンどころの問題じゃなかったんだろうが、なんせ私だ。色気も何も無い妄想で終わってしまったんだろう。可哀想に。あえていわせてもらうなら首が痒い。だれかかゆみ止めとか、ムヒとか持ってないんだろうか。掻くと治り悪いしなあ…



「 …いや、なんで全員赤くなってるの?え、うそ、皆そんな想像したの!?大丈夫?!頭腐ってない!? 」

「 腐るとかそういう問題じゃ、 」

「 こんな貧相な身体で何を考えたんですか!? 」

「 浅葱、ちょっと静かにしてくれないか 」

「 お前、別に貧相じゃねェだろーが 」

「 …と、とりあいず、水でも、 」



本当に蚊に刺されただけだったのに、そこまで想像力が働く彼らに驚くというか私相手にそこまで膨らませてしまっていいんだろうか。ここまで下世話な話について普通に出来る私は、男の子の猥談にでも乗り込んでいける自信があります。女の子の方より可愛いから、お姉さんは乗り込んでいけるのです



「 うーん、なんというか 」

「 いや、つい疑っちゃっただけだからもう気にしないで欲しいんだけど… 」

「 いやほら、ゼロス。これは私にも責任があるし、まあこういうギルド生活してたらしょうがないかなあとは思うか、ら 」



フォローしようにもなんか照れてしまう。頬が熱いというか、下世話な話のフォローなんて酔っ払いがするもんだと思っていたし、夜中だったらまだしも昼に近い朝からこんな話だなんてやっぱり恥ずかしい気がしてきた!女の子は聞いていませんように!



「 怒ったりはしないけど、 」

「 え? 」

「 怒ったりしないけど、でも、全員揃ってここにくる必要あったの? 」

「 い、いや…それは、だな 」

「 あー、ごめん。言いづらい事はスルーしとこう。に、してもこのメンバーにスパーダってめずらしいね、てっきり覗きに専念でもしてるかと思ったのに 」

「 ばっ、オレだってな、その 」

「 冗談でーす 」



茶化すようにそういえば、スパーダはキャスケットの鍔をつかんで下げた。恥ずかしがりやさんめ、と心の中で言いながら不覚にも微笑んでしまう。男の子って本当に可愛いというか、たまに微笑ましく思ってしまう



「 うん、色々と無理はしないようにね 」

「 浅葱、お前なあ… 」

「 まあ、浅葱ちゃんらしいとは思うけど、 」

「 もう少し恥じらいを持ってもいいと思うぞ? 」

「 つーか後ろ向いて今さら照れんな 」

「 心は初心なんです! 」



身体は別だとしてもね!と言うと4人の表情がしかめっ面に変わる。くそう、言ってみた事に関してここまで可愛い反応をされると腹筋が動いてしまう。可愛すぎて笑ってしまうとあとで皆に怒られそうだけれど



( ふ、くっははははは! )
( アイツ、今オレ達をからかいやがったな! )
( だ、だって、可愛い反応するもんだから、ふふ )
( からかった、なあ? )
( ゆ、ユーリストップ!それ以上近づいたら、 )
( ジャッジメント! )
(((( !! ))))
( …クラトスが何処から見てるかわからないんだよ? )

11/0302.




- ナノ -