そろりそろりと船へと足を戻してみれば、裸足とか服装とかのせいで入りにくい。でも何も持たずに出て行ったから無事に生還できた私はある意味すごいのかもしれないけれど、確実に心配はされているだろう。それに砂まみれの船内を掃除するのも私だ。できることならば、あまりそういう事をしたくは無いので、



「 …おお、冷たい 」



青い海に足を突っ込んでみた。案外冷たいというか、ひんやりしてちょっとだけ心地いい。うわ、これなんか最適かもしれない。今の場所の海。気温が少し高めだから冷たすぎる事はないし、こういうところだったら海水浴とかに向いてそうな気がする。浜辺に石版とか落ちてるし、海藻ついてるし、海水浴に丁度いいはず、え?



「 …これって、 」



ニアタ・モナドの石版じゃないか。しかもゲーム前で見たものより海藻多いというかさり気なくわかめとか張り付いてるんですけどいいんですか、これで。あの石版がまともに見えるようになったのはわかめのおかげなんですか。わかめとちょっとだけ海藻剥がしたからあれだけ見えるようになったんですか?比較的緑色がおおいんだけど!



「 あああああああああああああ!浅葱ってばあんなところにいるヨー!! 」

「 なんだとー!浅葱って誰だ! 」

「 お前だ! 」

「 お前以外誰がいるんだ馬鹿やろう! 」

「 今誰だ、馬鹿野郎っていったやつ!降りて来い!海に沈めてくれるわ! 」



今文明的遺物発見したばっかりなのになんで馬鹿にされてんだ!それに野郎じゃないし、女の子なのに!こんなにも女の子なのに!



「 っていうか、誰か私の靴とってきてくれ!残念ながら今裸足なんだよ 」

「 なんで、裸足なんだ? 」

「 いや、砂浜なら問題ないかと思って調子乗ったはいいんだけど入るときに砂まみれになることを忘れてたんだよねえ 」

「 やっぱり、馬鹿じゃねェか!! 」

「 今しっかりと聞いたぞ、スパーダ!降りて来い!貴様を海のモズクにしてくれる! 」

「 もずくかよ 」

「 いや、ゴミはまずいかと思って 」



考慮の結果だったのに普通に突っ込まれてしまった。藻屑は表現的に歯ごたえがないので、屑の前を選択。しかも屑じゃないのが大事。屑って言うのはアッシュの特権だから私はしっかりとセーフしておきます。彼のためです。彼に言われたらそれをそのまま返すためなのです!



「 っていうか、浅葱さんずっと海に居たんですか!? 」

「 あ、おはようチャット。朝、目が覚めちゃってさあ。このまま逃げていいー? 」

「 え、いや駄目ですよ!駄目です! 」

「 まあ、あと少し散歩したら戻ります 」



パシャン、と水音を立てて海水を足ですくってみた。なんというか、顔にかからないように遊んではいるけれど遠くの波を見ると立ち向かいたくなるのは私だけなんだろうか。でも多分やろうとしたらセネルとかにつかまってお説教される気がするんだよなあ。『海舐めてんじゃねえぞ、ゴルァ』って。きっとしょっぱいと思います



「 だったら、一人ぐらい武器をもってる人を傍に置いておきなさい 」

「 ジェイド、ウッドロウだけは嫌です! 」

「 そんなに照れなくとも、もちろん私が 」

「 ジェイド!アイツ、私のお散歩を鬼ごっこに変えそうだから嫌です! 」



初めて会ったときから危険な香りがするからヤツだけは勘弁していただきたい。だったらユーリとかいつものメンバーの方がいいよ!ガイとかゼロスとか!ああ、丁度スパーダに用があった気がする。アイツ早く沈めなきゃ世界平和が守られない気がするんだ



「 ほら!おいでよスパーダ! 」

「 ぜってェいかねー 」

「 早くそこから飛び降りて死ね 」

「 誰が行くか! 」

「 ちょっとした冗談だって、早くおいでよ 」

「 冗談を知らない顔のヤツに言われても信用するわけがねェだろが!! 」

「 怒鳴られました怖いです! 」

「 嘘つけ! 」



乙女声をだして言ってみたけれども、さっそくと見破られてしまった。改良の余地がありそうだ。今さらだけど、あの子の目の前で普通にボケているのにあの子は全部冗談だと思い込んでいるので私たちのディセンダーは笑顔です。よかった、純粋で。暴言とかきっと頭に入らないんだね。覚える事が沢山あるから。安心しました



「 と、いう事でリオンおいで 」

「 なんで僕が… 」

「 そのサラサラキューティクルを波風で痛めさせてあげる! 」

「 お前の最低な発想はどこからくるんだ! 」

「 最近の突っ込みは人の心をも傷つけるのね、酷いわ 」

「 泣き真似が何処まで安っぽいぞ 」

「 ノリ、いいですね 」

「 …う、うるさい! 」



ツンデレ。ノリ良好。
なんというかこれはこれで美味しい気がしてきた。次は誰にしようかなあ。ジェイドは前に槍を船の上から構えてきたからあれはあれで怖いし。安全面がある突っ込みは、



「 ゼロス、 」

「 え?俺様?もちろんよろこ 」

「 の隣にいたリフィルー。あのさ、この石版っぽいのどうする?なんか、結構すごそうなんだけど 」

「 早くもってらっしゃい。いいわね、傷つけたら許さなくてよ! 」

「 はーい。誰か手伝いおいで!あと、私の靴はまだか! 」



そろそろ、足が冷たくなってまいりました。丁度いいとかいってたけれど、水風呂みたいに長居しすぎると身体の温度が確実に落ちてくるなんて。流石というか何と言うべきか曖昧だけれどもとりあいず、運ばないと話は進まないぞ



( いや、本当に誰か靴と石版運びを手伝ってくれませんか… )
( 持てるだろー? )
( あのね!結構非力なんです!女の子なんです、私! )

11/0224.




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