初めて一人で行った仕事で馬マスクを貰った私。一体どうしろと?いや、これは使用しろってこと何だろうか。まあいいや、今日の晩ご飯は油使うって言ってたからこれでもかぶってやればいいだろうし、何しろ馬マスクだから問題はないだろう。数人に驚かれそうだけれども気にせずにやればいいや。と何を思ったのかそんな行動を起こしてしまった私は馬マスク、いや馬面装着しながら調理してます



「 まあまあ助かるわあ…! 」

「 いや、面白いもの手に入って調子乗ってるだけだよ 」



この世界にこんなものがあるなんて思ってなかったので余慶に楽しくて仕方がないです。タマネギとか切ってたら目にくるけれど。鼻にもくるけれども。隙間はあるからね。首パカパカだし。そんな事言ったら口もパカパカか。



「 パニール、この人誰なの? 」

「 この方は秘密の人ですよ 」

「 えー? 」



ルビアからの視線が痛いです。いや、調理場まで入ってこないってところが素敵だけれども。まあ、なんとなくて割烹着とかきてやっちゃってるあたり服装も見えなくて疑うしかないんだろうけれども。



「 あの、外してもらってもいいですか? 」

「 外すと顔の溶けた緑の肉片が見えるぞ 」

「 きゃああああああああああ! 」



声色を低くしてそんな事言えば響いたルビアの悲鳴。目立つみたいだから、ちょっと端のほうで包丁使おう。リッドとかに見られたら狩られそうだ。想像できる自分がいやだけれども。狩られるどころか頭がなくなりそうだよ、私の



「 あまり脅かしすぎないで下さいね 」

「 わかったよ、パニール。でもつい、こう…苛めたくなるって言うかさ 」

「 ふふふ。確かに皆さんの驚く姿は面白いですけれど、あまり驚かすと脱ぎにくくありませんか? 」

「 区切りのいいところで抜けるから大丈夫 」

「 わかりました 」



大丈夫、ちゃんと調理しながら考えてるから。この食堂を駆け抜ける瞬間を。そして何食わぬ顔をして『何さっきの馬面』といいながら食堂に入ってきてやるんだ。多分パニールは笑ってるだろうけれどもお姉さんは気にしな



「 おねえちゃん? 」



バ レ た !

え、なんで何でわかっちゃうの?しかもおねえちゃんって呼ばれたことから考えると確実にエールなんですけどあれ?この子エスパーなのディセンダーってエスパー能力でも持ってるの?!えええええ!?負に落ちませんよそれ!なんでバレた、今!



「 エールさん、違いますよ 」

「 でも、おねえちゃ、 」

「 秘密の人、ですから 」

「 ひみつのひと? 」

「 はい 」



パニールがニッコリと笑うとエールがどうも負に落ちない感じで首をかしげた。ありがとうパニール。多分この場でばれると流石にルビアが凄い文句言いそうだからそろそろ退場します。



「 お手伝いありがとうございます 」

「 いえ、 」

「 おねえちゃん、ちがう… 」



エールがへこんでる…。なんか物凄く悪いことをしたような気持ちになるんですが…!なんだろうこの、子供に嘘ついたみたいな罪悪感!胸が苦しいんですが!



「 きっとエールさんが席に座っていい子で待っていればすぐに浅葱さんはきてくれますよ 」

「 ほんと? 」

「 はい 」



了解しましたすぐにお姉さん馬マスクのしたの汗ふき取ってから今すぐ会いに行くからね!すぐにだよ!すぐにちゃんとエールの正面か隣に座るからね!ちょっと待っててくれればすぐだから馬マスク取るのなんで一瞬だから。バッてやれば取れると思うから!ちょっと待ってるんだよ!



「 浅葱おねえちゃん、 」



すぐに帰ってくるからね!いい子にしてるんだよ!けしてイスとか蹴ったら駄目なんだからね!そういえばあの机って正面に座れないような気がするけれど皆何処で食べてるのかって考えたらどんなところでも食事する人もいるってことなんだということにするから、今更思ったことで申し訳ないけれども



( 目、目がああああああ! )
( って叫んでいる瞬間を )
( ルカに見られた私 )

10/0818.




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