歩くたびに音が鳴る雪がだんだん鳴らなくなってきた。新しい雪が降る量が多くなってきたせいで、視界もまばらで微妙に視野が悪い。本当に早くバンエルティア号に案内してあげないとまずいことになるけれど、だからと言って私だけ早足だと村人の人達がついてこれないのもわかってるから心だけ急ぐ。早く。早く。
「 浅葱は、どうしてボク達を案内するなんていったの? 」
「 二人だけじゃ村人を守りきるのはきついかと思ってさ。それにもしも怪我した時に回復できる人がいなさそうだったから 」
「 …何故、そう思う? 」
後ろから落ち着いた声が聞こえて私は振り返らずに、歩き続ける。
「 ケガ人が多かったからかな。あと、術を使いすぎると疲れちゃって案内どころじゃなくなるだろうしね 」
「 本当にすまないな 」
「 いや、いいよ。こうやって誰かのためになるのは嬉しいから 」
サクサクと進んでいく道の奥の方にやっとあの色合いが見えてきて、後ろの村人が少しざわつく。確かにはじめてみたら驚くとは思う。カラフルで海の上も走って、陸も走る船。私は知っていたから差ほど驚かなかっただけで、本当は声を上げて驚いていたかもしれない
「 ギルドのお仕事をして誰かが、笑えていればそれでいいんだよね 」
「 じゃあ浅葱は、そのために仕事をしてるんだ? 」
「 うーん、仕事が終わってさ『ありがとう』っていわれるのが嬉しいのかもしれない 」
なんでギルドにいるか。
そんなことを考えたことはなかった気がする。誰かが悲しいなら笑わせてあげたいとは思うし、困っていたら手助けが出来る場所。人がなかなか出来ないことを出来る場所がギルドで、
「 居心地もいいしなあ 」
「 どういうコト? 」
「 ギルドの雰囲気が暖かくて、ついつい住み着いちゃったんだよ 」
「 雰囲気? 」
「 うん、空気 」
変わった外見のギルドで、入るまでが緊張して、でもいる人達が暖かいから空気が暖かくなって。まるでおとぎ話の中に入ったみたいな不思議な感覚に、心がわくわくして
「 それじゃあ、浅葱がただのいい人だヨ 」
「 ただのいい人じゃだめなの? 」
なるべくいい人でいたいからそういうつもりで居たんだけど。マオはもしかしたらいい人が嫌なのか?うーん、警戒されるのはいいけれど警戒されすぎるとちょっとショックというか、いいのかなあ。こんなんで、とか考えてしまうんだけども。
「 雪だるま作ってたくせにー 」
「 いいじゃない。雪だるま。楽しいよ? 」
「 おい、二人とも。戦闘に集中しろ! 」
しまった、ここにもそういえば種類は違うといえばお父さんがいたんだった!
盲点だった!くそう、第三のお父さんか…手ごわそうだ
「 はーい 」
「 頑張って集中しますー 」
大きく返事をしてみたけれど、やっぱりマオと目が合った。
「 浅葱って、子供みたいだよネ 」
「 マオに言われちゃったらなあ 」
「 いいから集中しろ! 」
「「 すいませんでした 」」
背中にお父さんの視線を感じながら( ユージーンっていつもあんな感じなの? )
( うん。でも今日はちょっとピリピリしてるネ )
( …浅葱、マオ? )
(( なんでもないです ))
11/0216.
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