「 あのう、すいません 」

「 はい。何か御用でしょうか? 」



愛想笑いを浮かべて私が聞き返した先に、美少女がいた。毎回毎回何か事件を起こしたあとに美少女に会えるって言うのはなんというか心のオアシス的な展開過ぎて、逆に心臓に悪すぎて胸が痛い。思わず布団を運んでいたのに落としそうになって全力でさせるかぁッと叫びそうになった私はにっこりと笑みを浮かべるのに成功した。上手に出来ました!



「 此処は、アドリビトムというギルドですか? 」

「 はい。此処がギルド、アドリビトムです。ご依頼でしたら、少しお待ちいただけますか? 」

「 え?ほかに人がいらっしゃるんですか? 」

「 そういうわけではないのですが…何しろ機関室へと案内をする人手が私しかいないので、よろしければ一つの布団干しの時間を頂ければ嬉しいのですが 」

「 あ、はい。どうぞ 」



負の影響で灰色とかにならなきゃ良いのになあ。最近白い洗濯物とかを干すのに抵抗が出るくらいその辺は不安だ。漂白剤の使いすぎで大事件が起きるかもしれん。海が汚染されるって言う方で



「 …何か急ぎの依頼ですか? 」

「 ええ、少し 」

「 手間を取らせてしまい申し訳ございません 」

「 え!いえ、そんな事は…!こちらこそ、申し訳ないです 」

「 いえいえ 」



そういえばホールにスパーダとかいた気がしたけれどこの美少女をアイツなんかに案内させてしまったら船を出る前に何か事件が起きそうというかこの美少女を傷つけてしまいかねんあの口の周りを考えただけで、無理だ。あんなやつに任せるくらいだったら、アイツに布団干しをさせたほうがマシだ!じゃなかった、早く布団挟みで止めなくては…!



「 それでは、ご案内いたします 」

「 あ、はい…! 」



ニッコリと笑って。相手を不快にさせないようにと気を使ってみたけれど、逆に胃がキリキリする。無駄に丁寧な感じだったからなんか胃がキリキリしてる!え、このくらいで!?最近使ってなかったからか!?くそう、こんなところで訓練不足になるとは誰も思わないと思うんだけど



「 機関室に行くまでに、一度ホールを通りますので道に迷われないように気をつけてくださいね 」

「 ひゅ〜、浅葱ちゃんってばさすがー。女の子に優しいねえ 」

「 ゼロスなんかに任せるよりは、マシだとは思ってるけど? 」

「 え、えっと、あの 」

「 あ、ごめんなさい。気にしないで下さいね、よくある会話なので 」



色んな意味で。最近私が女の子に優しいと評判が高くなってきているが間違いではないというか、男子相手も楽しいけれどこの船の女の子の会話はそれはそれで楽しいので最近は好き嫌いをしないようにちゃんと女の子の会話には多少は足を踏み入れ始めました。さほど、ドロドロしてないから居心地は良いです



「 此処を降りたところが機関室です。足を踏み外さないように。あと、すぐに移動しないと足挟まれちゃうので危ないですよ 」



先に昇降機を使って下りてから手招きをすると、あと少しで地面につくところで飛んだ美少女を軽く受け止めて下ろすとあんまりエールと変わらないその軽さにちょっと自分の身体が気になりました。この船に乗ってる人達皆細いんだもの。おかしいよ、おかしいんだよそのスペック。私より食べてるくせに!



「 おや?浅葱さん、お客さんですか? 」

「 うん、お客さん。ええと、名前を伺ってもよろしいですか? 」

「 はい 」



頷いた美少女に私とチャットが快く、営業笑顔を浮かべた。



「 わたしは、アニー・バース。ガレット村のギルドに所属しています 」

「 ボクはチャットです 」

「 私は浅葱。ギルドの方がアドリビトムへ頼みごとということは、何かあったんですか? 」

「 ええ…こちらのギルドに頼みたい事がありまして 」



言いにくそうにそう言ったアニーに私は彼女を見たまま、チャットは首をかしげた。ただ、ガレットという言葉に嬉しそうに反応していたところを見るとまた喜んでいるんだろうけれど最近討伐が多いから、また討伐だったらどうしようという事でも考えているのか最近処理したばかりの討伐の依頼の紙を横目で睨んでいた



( 仕切りなおすようにそう口にすると )
( チャットがはっとしたように業務用笑顔を浮かべた )
( 最近、変なところではちゃんと仕事スイッチがはいるんだよなあ、船長 )

11/0212.




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