さて、ベットメイキングも終わった事だし洗濯物を取り込まないと塩風にまみれてしょっぱいタオルとか続出しそうだな。昨日布団干したばっかりだからまた今日干す必要はないだろうし、早く甲板に行って洗濯物とりこんで、そうしたら買い物に行こう。買いたいものあったし、裁縫道具とか、あと寝巻きの替えとか



「 あっ、パニール。洗濯物取り込んでおいたよ 」

「 ありがとう、カノンノ。こっちもやっと台所が片付いて一息つけるところよ 」

「 私もやっとベットメイキングにあんまり時間を割かなくなったよ 」

「 でも、浅葱がやると皺一つないけど…どうやってるの? 」

「 …空気を抜くように、端と端の折り方にも気を配るとああなるんだよ 」



シーツが妙にボコボコしてると寝にくいかなと思って頑張っているけれど。でも、洗濯物の当番今日は私だったような気もするんだけれども。なんでこうなったんだ?カノンノの優しさなんだろうか。この子ったらもう、いい仕事ばっかりするんだから!



「 そっか…。浅葱は、これからどこかにいくの? 」

「 ん?ああ、ちょっと、ね。パニールは? 」

「 私はこれから日向ぼっこしながら恋愛小説を読む、幸せタイムよ〜 」



ちょっとした買い物ですので一人で大丈夫です。一人でできるよ!パニールがウキウキしながら取り出した本の表紙の絵があまりにもベルサイユの薔薇っぽくてちょっと噴出しそうになりましたけれども、お姉さん耐えます、頑張る、うん。別に世界樹が光っててもお姉さん気にしな、え?



「 …光ってる? 」



まさか。これはイベントじゃないか?ディセンダーがやってくるやつ。そうしたら、ディセンダーが生まれるということだから話はまだ始まってなかったって事?

私がそう考えている時、世界が一瞬白くなった。発光したような白さに、一瞬目を瞑り、世界樹の方を見たカノンノと私。
世界樹は弱弱しく光ったまま、空には飛行機雲のように光った一筋の光が、ぷつん、と消えた。なにこれ、



「 今の光、世界樹が何かを出してたみたい 」

「 まあ、何かしらね 」



パニールとカノンノが眉をひそめた。私は急いで視線を世界樹のほうへと向ける。小さな点滅をした世界樹がだんだん収まっていくだけで、ディセンダーが落ちてくる気配はない。うわ、緊張するこれ



「 見失っちゃった。何だったんだろう… 」



不安げに声を出したカノンノに私はゆっくりと頷いて上を向いたのはいいけれど目の前にあったのは大きな影。影。え?うそなにこれ、え?ボール?いやそれにしては微妙に小さな子供を真上から見たときと同じような感じがお姉さんはするんですけれども、なんですかこの状況



「 死亡フラグ? 」



ビキィと引きつった私の口角。上手く笑えないぞ、これどうしたらいいの?なんなの?避ける時間もないし、ああああ!人間の一番守らなくちゃいけないところって何処だっけ?え、で、でも、今、今は後頭部を護らなく、



「 ぶっ 」

「 え、浅葱? 」



前頭葉が揺れてそうな痛み。もうごつんとか言う効果音じゃないよコレ痛いけどなんか痺れる痛みって言うか、身体に重みを感じるほど私は頭を打ちつけたのかそうかそうか



「 ひ、人がッ!?はわわわわわわわ… 」

「 浅葱っ、大丈夫!? 」

「 …ああ 」



素直に目を開ければ目線の先にカノンノの可愛い顔があって、目線を下に向ければ可愛らしい寝息を立てて眠っている女の子。つまり、私はさっきこの女の子に頭突きをされて、こう下敷きにいや、点滅してるし生まれたばっかりなんだろうけれど、まじかで見るとこの点滅した光が私の身体に吸い取られてる気がす、え?



「 人が空から振ってきたわぁぁぁ〜!! 」



ちょ、いや、パニールの叫びとかもうそれどころじゃないんだけど、いいの?これ私が吸い取ったらいけないんじゃないの?この発光ってそもそも世界樹のマナでしょう?え?これでディセンダーが目覚めなかったら私のせいじゃ、



「 とりあいず、パニール掛け布団の用意してくれ。私は空いてる部屋にこの子を運ぶから 」

「 は、はい! 」

「 呼吸はしてるみたいだし、生きてる。ただ顔が少し青白いからなるべく温めて、 」

「 浅葱は大丈夫なの!? 」

「 頭突き程度じゃ沈みません 」



キールとリッドに手伝ってもらって私がこの子を背負うとじわりと人肌の温かさが背中に伝わってきた。私はこの子をおぶりながら歩くたびにこの子の腕がプランとゆれ、だけど落ち着いた呼吸が聞こえて、なんだか赤ん坊のようで優しい気持ちになれる



( そのぬくもりが君が存在する理由で )
( ぬくもりを護ってあげるたい私は )
( 静かに眠る顔を見て、君の頭を撫でた )

10/0816.




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