今日は何の依頼を請けようかなあと機関室に足を踏み入れると沢山の紙の山に埋もれているキャプテンハットがあった。既に埋もれてるとは何事?そう思いながら、紙を一枚二枚と拾っていくと短い金髪が見えた。どうやら一応生存しているらしくうめき声が聞こえてさらに掘り進めると一瞬にして紙がぶわっと宙に舞う



「 あー!まったくもう! 」

「 …何、怒ってるの? 」

「 見てくださいこの依頼の量!全部討伐ですよ!?どれだけ増えてるんですか! 」

「 …全部? 」

「 はい、全部! 」



そういって私に紙を一枚一枚見せていくチャットに私は頷いては見たけれどやっぱり字が読めなくて私の頭の中はこんがらがってしまう。もうくるっくるです。くるっくる。



「 負の影響なんでしょうけどね、流石に捌ききれないというか… 」

「 うーん…、じゃあ行ってこようか? 」

「 さっきエールさんもそういって下さいました 」

「 にしてはさっきって大分前じゃ…? 」



もう3、4時間は帰ってきてない気がする。というか、帰ってきてくれなきゃ心配で心配でちょっとだけ仕事に行くのも億劫になるぐらい心配だ。怪我してないかな、ちゃんと無事で帰ってきてくれるかなあ。あああああああ!もどかしい!



「 と、いう事で浅葱さん。デスビー50匹お願いします 」

「 チャット 」

「 はい? 」

「 人に頼む量超えてるって気付いてる?気付いてるよね?それって職務的な問題で虐めだよ?虐めってねえ、良くないって教わらなかった? 」

「 大丈夫です。冗談じゃありませんから 」



そっと出された討伐の紙らしきものが25枚くらい重なっている。5匹討伐のオンパレードなんだろう。正直受け取って無事に帰ってきてしまったら自分のか弱い女という位置が守れない気がするのは気のせいだろうか



「 浅葱さんなら問題なく終わりますから 」

「 ちなみに聞くけど、うちの戦闘大好きッ子たちは? 」

「 もう出ました 」

「 …ですよね… 」



困っている人がいるならやらなきゃ!という英雄思考のカイルについていくリアラとか、戦闘大好き男ユーリについていくエステルとか。考えなくても浮かんでくる人達はもう既に向かってしまったらしい。何事も先手を打ってしまうというやはり主人公的なカリスマ性が彼らをそうさせるんだろうか



「 うーん…ちょっと辛い気がするんだよねえ 」

「 誰かと一緒に行ってはどうですか? 」

「 んー。まあ、そうだね。誰か、か 」



誰と行ったら良いんだろう。良い男チームは変なフラグを立ててしまう可能性がプンプンしてるから下手にいけないし、クラトスと行くとクラトス張り切っちゃって私出番なくなるだろうし、ロイドとか連れて行ったらもれなく安定パーティが得られるだろうけれど、それなら始めからあの3人かプレセアを一緒に連れて行けばこの量も減るだろう



「 そういえば、カノンノは? 」

「 それも先ほど行ってしまいましたけど 」

「 ………みんな行動早くない? 」

「 浅葱さんは家事まで担当していますから、しょうがないとは思いますが… 」



しょうがないって言われました。
まだ、家事担当班がきてないから手伝わないとパニールが過労で倒れそうで見てられないんだけどね。



「 じゃあ、船内で一人ぐらい引っ掛けてから行くね 」

「 あ、はい。帰ってきてからその方の名前も報告してくだされば構いません 」

「 了解ー 」



25枚もポーチに入れて歩き出すと人影はあまりにも少ない。停泊中だから良いものの。移動したらやっぱり迎えに来てくれるんだろうか。うーん…いや、だからこそ機関室で仕事振り分けをして終わったであろうころあいに迎えに言ってそうな気もするけど、私が出てくる時は船すぐ近くにあるしなあ



「 それよりも誰かいないかー 」



科学部屋メンバーは忙しそうだから声はかけないにしろ、誰かこの船に余っている人はいないんだろうか。特に前に出て行ってくれそうな感じの人が良い。



( そう思って外に出て行くと紅い髪が見えた )
( にいっと笑ってこっそり近寄ると )
( その紅が振り返る )

11/0210.




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