「 常磐、部屋に何が欲しい? 」
「 観葉植物を4つほど 」
「 は? 」
数時間前。治療室で素直に「私、行き場が無いんですが」とこぼした所でドクメントを見ていた陛下は「異世界人がどこへ行くんだよ」なんて笑いながら用意してくれた陛下の隣の部屋には豪奢なベットと机や椅子があり、速攻で撤去を願おうとか思っている矢先に出た質問に率直に答えると陛下が驚くよりも呆れたような表情で私を見ていた。私は多分マナよりも酸素が必要なんだと思います。だから呼吸が苦しくなったんだと推測中なんですよ
「 何で観葉植物なんだ 」
「 陛下やルミナシアの方々って空気中のマナで呼吸をしているじゃないですか 」
「 そうだな 」
「 私の地球では空気中にある『酸素』というものがあることで呼吸が成立していたんです 」
「 それと観葉植物と何の関係があるんだよ 」
呆れた顔のまま私を見下ろす体格のいい陛下を見ながら、顔色一つ変えずに窓の外にある植物を指差すと陛下の空色の瞳に緑の茂った木が映る。
「 植物が呼吸をすると空気中の二酸化炭素を酸素へ変えてくれるんです 」
「 ほー… 」
「 だから、観葉植物を、 」
「 多分その仮説は違うぞ 」
え?まさかの一蹴。想像もしていなかった展開に陛下は「病人はベットにでも座っとけ」なんて言いながら自分は椅子に座り言われるがままに私はベットに座るとゆっくりと頷いて、息を吸い込んだ。長話になる予感がする。覚悟しよう
「 常磐が言ったとおりマナで生かされてる。だが、マナがなくなった土地で人は死なないし、水の中にマナはあるが俺達は水の中で息は出来ない 」
「 ! 」
「 同じ様に酸素を吸ってる。だからその理論はわかるが、多分お前の呼吸障害は違うところからきてる。それが『マナ』だ 」
確かに水の中で呼吸が出来るのは本編の口ぶりからしてシャーリィだけだった。彼女も特殊な子だけれど、なによりもマナが枯れた土地では植物が育たないだけで人がマナがないから死ぬというのは聞いた事が無い。ということは、マナに問題があるとすれば、私の世界にマナがなかったから?初めての経験に体がついていっていないのか?
「 私の世界にマナがなかったからマナで満たされているこの世界に来て私の体が耐え切れなくなった、ってことでしょうか 」
「 俺の予想では、その通りだ。マナがなくて生きていける世界から来た人間の体に急にマナが吸収される事で体は圧迫される。今その星晶にマナを溜め込んでいる状態だ 」
壮絶なほどに自分の話しをされているはずなのにまるでナメクジに塩をかけて弱る感じのイメージだ。あれは水分が出されるだけなんだけど。なんだっけ、泥の樽にワインを一滴入れても泥のままだが、ワインの樽に泥を一滴入れればそれは泥になる。だっけ?つまり異物混入をするとその場に合った対応をしなくてはならないってことだろうか?
「 世界に私を一人紛れ込ませても変わらないが、私にマナを注ぐと毒になるって事? 」
「 なんだ、ことわざか? 」
「 さっきの話を簡単に解釈しようとしたんですが、間違えました 」
体のキャパシティーオーバーというべきなのか。
今までいっぱいだったものに違うものが入る場所が無かったというべきなのか
「 まあ、大体合ってるだろ 」
大体でいいのか!
「 それで、部屋に欲しいものは? 」
「 この世界の文字表が欲しいです。子供用のもので構わないので! 」
ひとまず観葉植物は必要ないようです
12/0920.
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