酷く頭が痛む。どことなく背中も痛いような気がするのだが、気のせいだろうか。とりあえず起きるだけ起きてから色々と支度をしないとメイドさんに怒られるし、ピオニーにもたまに鼻で笑われるし、フリングス将軍にいたってはたまに頭を抱えているのも見かけるくらいだ。女性のたしなみとして程よいくらいのことはしておかねば、



「 え 」



動かした手を髪へとやりながら目を覚ますと広い空が見えた。うっそうと覆い茂っているようにも見える樹木を見ながら隙間に見えた空は、あの中庭から見るよりも、城の中の部屋の窓から見るよりも透き通るように澄んでそして広く目に映る。だけど、城内にこんな森みたいなところはなかったはず≪これも陛下のご命令なのです≫だ、し…?



「 そういえば捨てられたんだっけ、 」



言い方は悪いが多分こんなもんだ。確かにうっとおしいというか邪魔な位置にいたのは間違いではないし、ピオニーにとって私とはそんな程度のものだったんだろう。陛下だって国のためには嘘をつくし、国のため。国の為に、怪しいものを追い出したんだ。そんなの一般民家だって同じこと。怪しい奴を何泊もさせる必要もないし、怪しいと認識したものが傍にいること自体がその人の不安をそそるのだから、



「 …ちっせえな、私 」



自分を安心させようと正当化させようと自分に言い訳してるなんて、小さいなあ。と息を吐きながら立ち上がりながら腰周りや背中についているであろう土や草を叩く。ついでに自分の衣服を確認してみればあの城の中で着ていたドレスのまま



「 …、流石に髪がボサボサのままじゃ格好付かないな 」



ドレスが傷ついていないか確認しながら、汚れた指先で髪を梳くとふわりと落ちた髪の毛。それを辿るように下ろした手が触れた柄を軽い気持ちで握ってみれば鈍色の深緑が悲しげに煌いた。だけど、



「 ディセンダーに会いにいける 」



これだけは断言できることだから。そう思いながら、散らばったヒールを履いて息を吸い込んだ。私の知っている知識はTOW3の本編や他のテイルズ関連の情報だけだ。その中でわかること、その中で今出来る事は『ディセンダーに合いに行く事』『アドリビトムに行く事』国境の無いギルドに行けば、戦争にも関係せずに生きていけるはずだ



「 とりあえずは、今この場所を把握しなけりゃいけないんだけど 」



周りを見渡してみても森ばかりだし、いまいちわかりにくい。一本一本形の違う木だったら目印にもなるが何本も見ていれば感覚もずれてくる。木でも上って高いところから見渡してみようかな。ちょうど木の根が橋みたいになって…いや、まて。そういうダンジョンあったよな。あったよね、確かフレンとかチェスター迎えにいったところ!



「 も、もしや、コンフェイト大森林…? 」



初ダンジョンだ。ダンジョン!こういうところの魔物って、確かプチプリちゃんとか、植物系の魔物がいっぱいだからマクガヴァン先生は火系の魔術がお勧めだって剣術で私を地面に転がしている時に言ってたなあ…。



「 ………ブウサギ、元気かな 」



思い出したら、俯いてしまいそうな私は唇をかみ締めた
12/1220.




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