稲妻SS | ナノ

きらい!…やっぱ好き/不円




「不動のバカ!もう絶交だ!!」
「ふん、こっちこそせーせーするぜ」



円堂と喧嘩した。

原因は確かすげえつまんねーことだったんだが、言い合ってるうちにエスカレートして、もう2時間くらい口をきいてない状態が続く。

別れこそしてないものの、俺達は露骨にお互いを避け合い雰囲気は最悪だ。
他の円堂を狙ってる奴らはここぞとばかりに円堂にアプローチをしてやがるし。


(ケッ、くれてやるよあんなサッカー馬鹿)


「ねぇキャプテン不動くんと喧嘩したの?」

「べっつにぃー?あんな奴知らねー!」

「ふうん…。じゃあ僕と付き合わない?」

「……どうしようかなー!確かに吹雪は誰かさんと違って格好良いし優しいしトマトだって食べれるもんなー!!」


わざとらしく円堂がデカイ声で言う。腹立つから俺もやり返すことにする。


「鬼道クン今日もカッコいーねェー!正直付き合ってほしぶべらッ!!」

「ハゲの分際で俺の鬼道さんに気安く話しかけてんじゃねーよカスが……」


ちくしょう。何故こうなることを予測できなかったんだ俺は。一瞬にして回し蹴りとか佐久間マジ容赦ねぇ。っつーかヤベェあいつ超怒ってるわ血管浮いてるしヤベェ怖ぇ人選ミスった

「円堂くん、もうハゲなんかと別れて俺にしなよ!俺なら絶対君を傷つけたりなんかしない…約束する」


本人はあくまでもシリアスなつもりなんだろうが、残念なことに鼻血を垂らしながら円堂の手を握るヒロト。あいつ馬鹿じゃねぇの。つかハゲって言うな!

まあヒロトは円堂が反応する間もなく豪炎寺に爆熱スクリューをぶち込まれてたんだが。(そしてヒロトは動かなくなった)





そんなこんなで円堂と喋らない日が3日続いた。時間が経つとともに俺の怒りはおさまり、今はただ気まずさから避けてるだけなのだが。あいつはまだ怒ってるんだろうか。

(別に俺がいなくてもあいつにはお仲間がいっぱいいるし?これ本格的に俺いらねーんじゃねぇの)


「………。いやいやいや別に寂しいとか思ってねーし!」


自分に言い聞かせるようにして、とりあえず朝練に行くため部屋を出ようとドアを開けると、コツンと何かにぶつかった。
しゃがんで見てみると、何故かそこには皿に乗ったバナナが。しかもバナナにはマジックで何か文字が書いてある。


(は?何だこれ…。ご、め、ん…?)

「ぶはっ、あいつ…!」


汚い字で書かれたそれを見て、くくっと笑いを漏らす。名前なんかなくても分かる。円堂が置いたんだ。


「やべー、超かわいー」


笑いすぎて出た涙を指で拭い、さあ仲直りしようかと急いで円堂のもとへ向かった。

会ったら思い切り抱きしめてやろうと思いながら。




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お前ら早く結婚しろ


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