稲妻SS | ナノ

期待しただなんて/不円




※未成年の喫煙ダメゼッタイ



円堂は夕食後のランニングで軽く汗をかいてもうすぐ宿舎に着くという頃。
木の影で後ろを向いて座り込んでいる不動が見えた。


「あれ?おーい不動ー!そんなとこで何し…て…」
「げっ」


なんと、不動が煙草を吸っていた。

とりあえず誰かに見られたらまずいと思い、円堂は煙草を取り上げ火を消す。


「な、何やってんだよ!煙草なんて…!俺たちまだ中学生だぞ!」
「あー、うるせーなぁ」


不動はうざったそうにガシガシと頭を掻いた。そんな態度にムッとした円堂は不動の肩を強く掴む。


「お前が煙草を吸ってるなんてバレたら、もうお前は試合に出れなくなるかもしれないし、チーム全体に迷惑がかかる!」

「ああ?んなこた分かってるんだよ。だから隠れて吸ってんじゃねーか」


肩、いてェんだけど。睨みをきかせて言えば、円堂は「あ、ごめん…」とゆっくり手を離した。


「それに、若いうちから吸ってたら体に悪いって授業で言ってたし」


心配そうに見つめると、不動はにやりと笑って一歩円堂に詰め寄る。
「なに?心配してくれてんの?」
「あ、当たり前だろ!」


縮まった距離に驚いて円堂は一歩後ずさる。それを埋めようと不動が一歩。また円堂が一歩。不動が一歩。円堂が一歩、下がろうとしたところで後ろにあった木にぶつかった。


あ、と思ったときにはもう遅く、顔のすぐ横の木に不動の手が伸びて、逃げ場を失ってしまった。


「どういうつもりだよ」


ぎろりと睨んだつもりだが、不動はまったく怯む様子などなく、むしろにやにやと笑っているままだ。


「はっ、チームメイトがキャプテンと仲良くしちゃいけねえのかよ?」
「そういうわけじゃ」


ないけど、と続くはずの言葉を飲み込んだ。不動の手が円堂の両頬に添えられ、ゆっくりと顔が近づいてきたからだ。


(え、え、これって、もしかして、)


鈍い鈍いと言われている円堂だが、自分がこれから何をされそうなのか気付いてしまう。


逃げようにもいつの間にか足の間に不動の膝が割り込まれていて身動きはとれないし、何より心臓がうるさくてまともな思考ができない。


円堂は半ばやけくそになって、目をぎゅっとつむる。
…けれど、いつまで経っても思っていたはずの感触はなくて。そろりと目を開けると不動は意地の悪い顔をしてこちらを見ていた。

「しねぇよ、ばーか」


俺は顔が真っ赤になって、言葉も出なかった。
それと、自分にうつった煙草のにおいがまた恥ずかしかった。



‐‐‐‐‐
このあと円堂さんは夜にあきおの部屋に残りの煙草没収しに行って「お前警戒心とかないわけ?」って言われて「???」ってなってる円堂さんにぷっつんするあきおな不円になる



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