ヒロ←円←風
※悲恋
「ヒロト、彼女いるんだって」
ふられちゃった、と苦笑いで円堂が俺に報告する。
ほらな、だから望みなんかないって言っただろ。諦めて俺にしとけばいいって何度も言ったのに、それでも俺はヒロトが好きだの一点張りで。
「なあ風丸、ふられちゃったよ」
「…さっき聞いた」
「失恋ってダセーうえにつらいんだな、俺かっこわりー」
泣きそうな顔をして笑う円堂があまりにも痛々しくて、頼りなくて。気が付いたら俺は円堂を抱きしめていた。
「…風丸?」
「俺なら絶対お前を泣かせたりしない。約束する。だから………だから、」
続きは聞きたくないと言わんばかりに、円堂は優しく俺の肩を押し体を離す。
「円堂…」
「俺、お前のこと好きになれば良かった」
絞り出すような声で言われたそれは、お前のことは好きになりたくてもなれないとはっきり言われたようなもので、情けないことに涙が止まらなかった。
( 思ってもないくせにそんな事言うなバカ )