不円

「俺って愛されてんのかなあ」

はあ、と円堂の溜息が部室に響く。着替えの最中だったメンバーはみな円堂に視線を向けた。

「いきなりどうしたんだ円堂…」
「俺は愛してるよ円堂くん!」
「鬼道さんに愛されたい」
「(スルー)円堂、何か悩み事か?」
「えっ、円堂さんのことを愛してない人なんていないと思います!」

上から風丸、ヒロト、佐久間、鬼道、立向居が反応する。風丸と鬼道以外の言葉は無意識にスルーし、ユニホームからジャージへと着替え終わった円堂はあのさ、と話を切り出す。

「不動と付き合ってもう1か月経つのに、キ、キスどころか俺達まだ手も繋いでないんだ…なあ!どう思う!?」

バッと顔をあげると、そこには、円堂と不動が付き合っているという事実を改めて突き付けられショックで石化する者、号泣しながら部室を飛び出す者、呪いの儀式を始める者などで、まともに話せそうな人がいなかった。



(…やっぱり、本人に聞くのが一番だよな!)

不動は本当に自分のことを好きなのかを確かめるべく、円堂は不動のもとへ向かった。



「は?今なんて?」
「だから…不動はほんとに俺のこと好きなのかなって」

はあ、今度は不動が溜息をつく。

「嫌いな奴と付き合わねーだろ普通…」

呆れたような顔で言われた。そう言われてもあまり信用できない。
不動はいつも飄々としているし、付き合ってから好きと言われたことは一度もなかった。不動から、好きだという気持ちが伝わってこないのだ。自分ばかりが惚れているようで。そう思うと円堂の目にじわりと涙が浮かぶ。

「…じゃあ何でキスしてくれないんだよお!!」
「は!?」
「手も繋いでくれないし!!」
「おっ、おい…!ばか、声が」
「俺はそんなに魅力がないのかよっ!!」
「…!あーもうテメェはよぉ…!」

ぐい。腕を引き寄せ不動は乱暴に口づける。
円堂が驚愕に目を見開くのも構わず、角度を変えてより深く口づけた。
貪るようなキスにすっかり力が抜けた円堂は、必死に不動にしがみつくが次第に立つこともままならず不動を巻き込み地面へ崩れ落ちた。

「は、ぁ…ふどぉ…」

熱っぽい目で不動を見つめると、不動は円堂以上に真っ赤になって小刻みに震えていた。

「…これでも俺はお前といるだけでドキドキしてんだよ!そ、その上キ、キスとか…そんなことできる余裕なかったんだよ!察しろよ!ばか!」

そう言った不動が何だか可愛くて円堂は小さく噴き出してから声をあげて笑った。今まで不動が素っ気なかったりしたのは全部照れていたのだと理解した。

「不動、もっかいキスしよ」
「…てめぇあんま調子乗ってっと襲うぞ!」



ど う ぞ ご 自 由 に !


→追記

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