ヒロトと南雲

ヒロ・南→円夏




今日は守の結婚式。守と、雷門さんの、結婚式。

招待状は貰っていたが、どうしても行く気になれなかった。あんなに好きだった守の幸せそうな顔が、今はすっごく見たくないんだ。好きな人の幸せを素直に願えない汚い俺。ああ、汚い。


「…いいのかよ、行かなくて」
「晴矢…」


いつの間にか俺の後ろにいた晴矢に声をかけられる。人の気配にも気づかないほど俺は物思いにふけっていたようだ。


「好きだったんだろ?円堂のこと」
「好きだった、じゃない。今でも好きだよ」
「じゃあ尚更行ってやれよ!円堂だってお前に来てほしいはず、………」


ぽろぽろと俺の瞳から涙が溢れて、頬を伝い床を点々と濡らす。人前で泣くのなんて何年ぶりだろう。晴矢は驚いて言葉も出ないようだ。

涙がとまらない。何に対して泣いてるのかもよく分からない。ただ、辛くて、悲しくて、悔しくて。結婚なんて嫌だよ。嫌だ、嫌だよ。どうして俺じゃないの。ねえ、守、好きだよ。守。守、守、守。行かないで。行かないで…。


「う、…ッぐす」


涙も嗚咽もとまらない。守を好きな気持ちもとまらない。一回も伝えたことはなかったけれど、それでも、守を好きでいられるだけで幸せだった。これからは、それも叶わないんだけど。


「晴矢だって、守のこと好きだったんでしょ。今日は二人で泣こうよ」
「な…!」
「バレバレだったからね」


今日だけ、今日だけは泣かせてください。明日になったらおめでとうって言うから。



(さよならマイヒーロー)



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