ヒロ円風
「なあ風丸、…おれもうヒロトとわかれたい」
円堂は目に涙をいっぱい溜めて声を絞り出した。瞬きをすれば溢れてしまいそうな涙に視線が釘付けになる。
(ついにこの時がやってきたか、)
いつかはこんな時がくるだろうと思っていた。いくら円堂でも、ヒロトの狂ったような愛を受け入れ続けるほどの器はない。受け入れ続ければ、円堂は壊れてしまうだろう。
こらえきれなかった涙がぽたぽたと落ちる。風丸は円堂の頭を優しく撫で、そっか、とぽつりと言った。
(ああ、俺だったらお前を幸せにしてやれたのに)(風丸とだったら幸せになれたのかな)