Heart:3



「何やってんだァ?門番共」


よかった、助かっ…っ?!


「邪魔すんな万年居眠り野郎」

「デコのボタン押されたいのか」



助かったとはとても思えなかった。突然現れた新たな人物(おそらく役持ち)の、その頭から生えているのは嫌な記憶を思い出させるシロモノがついているのだ。
わたしをこの世界に引きづり落とし、あまつさえゲームだなんだと言いながら無理矢理に薬を口に含ませた、あの”白ウサギ”と…!


「ボスの客人かなんかじゃねーのか?」


白くはない。白くはなくても種族はウサギ。
そのウサギ耳にあっけにとられていると、カチリとこちらに向けられた銃口。

悲鳴をあげる余裕すらない。


「まぁなんでもいいや。銃、新調したから試し打ちさせろよ。」


ここで死んだら、姉さんのとこに帰れるのかなとか、小瓶の中身は溜まり切ってないからゲームオーバー扱いかなとか、いろんな事思いながらも銃の世界に慣れたわたしは、反射的に身体が動いた。


「やーい外してやんの」

「獲物を横取りなんてする汚いマネするから外すんだよ」


バンッという音がしてヒヤリとした。暑くはないはずなのに、背中がじわりと汗をかいた。
おそらく、弾はわたしの頭上を飛んで行ったはずだ。後先考えずしゃがみこんで弾を回避したけれど、ウサギ耳のイかれた男が一発で仕留められると過信していたからよけられたにすぎない。連発されていたら確実に死んでいたし、二度目はない。


「あーやっぱ無理、か」

意味ありげにため息をつきながら、ウサギ耳の男の手の中でくるりと銃が回る。

太腿に隠していたナイフを引き抜き今にも腰が抜けそうな下半身にぐっと力を入れ立ち上り、震える腕をまっすぐ前に伸ばした。


ここで死ぬわけにはいかない。
家に帰って姉さんに会って、その前に宿のお礼を遊園地のみんなに言って。

相手と少しでも距離をあけて木の後ろに隠れようとジリジリと後退していて、ウサギ耳の男たちがあっという顔をするのと、わたしが何かに背中でぶつかったのは同時だった。



top
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -