Heart:1


余所者としてこちらにきて、ある程度のことに慣れてきたわたしは、そろそろ行動範囲を広げてみることにした。

安全、とは言いがたい今の領地から出ることに木吉さんは心配そうで、誰かをつけるといってくれたけれど、いつまでも遊園地にいるわけにもいかないし、このまま箱入り生活を続けても今後の為にもきっとよくない。
いくら夢の世界だからって、今すぐに覚めることはどうやらなさそうだし、ひとりで出歩くのも慣れておきたかった。

「分かっているとは思いますが、キミが思うほどここは安全ではありません。かといって武器を持たせるのもかえって危険だと判断しました。何かあったら顔なしを盾にして身を守って下さい。」


なかなかバイオレンスな忠告である。

安全ではないのは重々承知しているし、遊園地内ですら殺し合いが勃発する世界。どこに行っても危険は付き纏うと思っているし、ちょっとは逃げ隠れするのも上手になったはずだ。

「ありがとう。でもそろそろわたしだって子どもじゃないんだから、一人で出歩ける様になりたいの。」

心配してもらえるのはとってもありがたいけれど、さっきまでライフルで射ち合っていた人たちが言っていいセリフじゃないなと思った。


一応砂時計をポケットに入れ、リコちゃんにもらった護身用ナイフをこっそり身につけた。私の戦闘力の底辺さでは、あまり意味はないかもしれないけれど、捕まった時にロープくらいは切れるはず。


こんなもしもを簡単に考えてしまう程度には、わたしの生活習慣はこのワンダーランドに毒されているようだった。




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