◎だってすきだし


「マネージャ〜脚ひねったっぽい」

「え?脚ひねった?ないない。大丈夫だって、こないだだってほら試合の時派手にぶつからせたけど、大丈夫だったでしょ?」

「おいおめーなんでそこまでひねった事実受け入れてくんないの?早く応急処置しろよマネージャ〜」

「救急箱じゃ治療出来ないから保健室行ってきたら?
あっちょ!瀬戸くん!寝ないで!早く外周行ってきて!」

原がどかりと座り込んだのを横目に、いろはが出席簿にチェックをいれていく。瀬戸が遅れて体育館へとやってきたのだ。

ピピーと笛の合図が鳴り響き、体育館で行っていたミニゲームが終了。簡単な3on3が終わり、そこに参加していた花宮が戻ってくると、いろははすかさずタオルを渡した。

「花宮くん、お疲れ様。それで、こないだ話してた足技だけど、やっぱりゴールシュート間際で目線がゴール付近に向いているうちにやった方がよさそうかなって。」

「俺もそれ思ってた。ポジション的に原じゃ目立つし古橋にやらせるか?」

次の試合のラフプレー否作戦について話し合う様は、傍から見れば真剣な表情と入りづらい空気によくある部活の光景となっているが、話し合う内容はスポーツマンとして如何なものである。

「う〜ん…ってあ!花宮くん!腕!」

首を捻って真剣に考えるいろはは、花宮の腕にある細いひっかき傷を目ざとく見つけた。

「ちょっ原くん!そこの救急箱!救急箱とって!」

「おい、おめー俺とのさっきの態度の違い何?ほんと何?」

「あ、それさっき俺がつけたやつだわ、わりい」

「山崎くん、外周20行ってきて」

「はぁ?たかがかすり傷だろ、こんなの舐めときゃ治るって」

「ちょっおいザキ、ばかッ」

「え?なに?30行きたいって?」

「バァカさっさと行けよ。マネージャー様のご命令だぞ?」

「花宮くんに一生の傷残ったらどうすんの!!!ついても私が責任とるけどね!」

「棚上げコンビいい加減にしろよ」


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